著者
大場 愛 佐藤 千尋 高橋 きよみ 二川 朝世
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.201-217, 2008-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
20

人間の体は器官・部位ごとに独立して機能しているわけではなく, 顔面皮膚以外の器官が顔面皮膚に影響を及ぼす例は, 多くの女性が経験し認知している。その影響は, 美容上無視できないほどのものである。昨今, 首から肩にかけた部位の苦痛・不快感 (いわゆる, こり感) を抱く人たちが増加していることに着目し, それが顔面美容に影響を及ぼすのか, 及ぼすとすれば, その状態を緩和することで顔面美容の改善を得ることができるのかを検討した。その結果, 首から肩にかけた部位に抱く苦痛・不快感は, その部位の筋緊張の昂進, 筋硬度の増加と関係しており, 額の表情筋である前頭筋の緊張, ひいては額のシワ程度にも関係していることがわかった。そして, 頸部や背面上部の筋肉の緊張を緩和することを目的としたボディマッサージ施術により, 前頭筋の緊張緩和や額のシワ程度の改善が認められた。顔面以外の要因が顔面美容に悪影響を及ぼしている例はほかにもあると考えられ, われわれの結果は, 今後, 顔面皮膚を美しく健やかにするための方策について, 個体全体で考える必要性があることを示唆するものである。
著者
佐藤 千尋
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.93-99, 2013-06-20 (Released:2015-08-25)
参考文献数
11
被引用文献数
3

水性洗顔料は主成分である脂肪酸セッケンや界面活性剤の作用により,時として洗顔によって皮膚に悪影響を及ぼす可能性がある。それを低減するため,これまで低刺激性界面活性剤開発など処方面での工夫が行われてきた。しかし,実際にその処方を使用してもらうと設計どおりの結果が得られない場合がある。水性洗顔料は他の化粧品と異なり,そのままの形態で使用するものではない。すなわち消費者自らが泡状に形態を変化させて (=泡立て) はじめて機能を発揮する製品である。そこで「泡立て」に着目し,「使用量」「濃度」「泡体積あたりの脂肪酸総量」をポイントに使用方法の実態を調査した。また,調査結果を基に行った実使用テストでは,「泡立て」の違いが肌状態に影響することを確認した。われわれメーカーは,水性洗顔料という製品を提供するのみでなく,使用方法のポイントすなわち「使用量」「泡立ての途中で水を加える」「空気を巻き込むように泡立てる」を消費者にわかりやすく伝え,適切な使用方法で使用してもらうことの重要性を啓蒙していく必要がある。
著者
鈴木 美加 比金 真菜 佐藤 千尋 松野 希望 齋藤 章子 森 隆史 橋本 禎子 八子 恵子 石龍 鉄樹
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.147-153, 2017 (Released:2018-03-17)
参考文献数
17
被引用文献数
2

【目的】3歳児健康診査における視覚検査(以下、3歳児健診)において、Retinomax®とSpot™ Vision Screenerの2機種を用いて、自然瞳孔での屈折検査を施行したので、その結果を報告する。【対象及び方法】対象は、福島市の3歳児健診を受診した71名の142眼である。Retinomax®とSpot™ Vision Screenerを用いて自然瞳孔での屈折検査を施行し、2機種の等価球面屈折値および円柱屈折値を比較した。【結果】Retinomax®とSpot™ Vision Screenerともに71名の全受診児で、両眼の屈折値の測定が可能であった。等価球面屈折値は、Retinomax®では-1.19±1.14D(平均値±標準偏差,範囲:-5.00~+4.00D)、Spot™ Vision Screenerでは+0.28±0.56D(-1.125~+3.75D)で有意差を認めた(Wilcoxon符号付順位検定,p<0.001)。等価球面屈折値が近視と測定されたものは、Retinomax®では121眼(85%)、Spot™ Vision Screenerでは30眼(21%)であった。円柱屈折値は、Retinomax®では0.54±0.50D(0.00~2.50D)、Spot™ Vision Screenerでは0.73±0.56D(0.00~3.00D)で有意差を認めた(Wilcoxon符号付順位検定,p<0.001)。【結論】Spot™ Vision ScreenerはRetinomax®に比較し、等価球面屈折値が遠視に測定される傾向にある。この結果は、Spot™ Vision Screenerでは器械近視が誘発されにくいためであると考えられる。したがって、Spot™ Vision Screenerは、健診において自然瞳孔で弱視の要因となる屈折異常をスクリーニングする精度をあげる機器として期待される。