著者
大森 みさき 宮崎 晶子 佐藤 治美 片野 志保 田邉 智子 将月 紀子 今出 昌一 佐野 晃
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.36-43, 2005 (Released:2006-04-06)
参考文献数
20
被引用文献数
7 5

本研究の目的は口臭治療における舌清掃の有効性を評価することである。被験者は舌苔を認める患者および本学職員と学生であった。最初に舌清掃指導して1カ月後に舌苔付着量と官能試験を行い, 両方に改善が見られることを確認した。その後, 舌苔付着を認める26人の被験者の官能試験と機械的測定により口臭の強さを評価した。また, 同時に口腔清掃状態, Probing Pocket Depth (PPD), Bleeding on Probing (BOP), 舌苔付着度を舌清掃前後において評価した。初回の診査の後, 被験者に舌ブラシ (ジャックス) を使用して1日1回は舌苔を除去するよう歯科衛生士または歯科医師が指導した。舌苔の除去は舌の表面に舌苔が見えなくなるまで舌ブラシでこするように指導した。口臭測定はポータブルサルファイドモニターとガスクロマトグラフィを使用し, 揮発性硫黄化合物 (VSC) 濃度の機械的測定と官能試験を行った。被験者には測定の2時間前から歯磨き, 飲食, 洗口, 喫煙を避けるよう指示した。舌苔付着程度は付着の厚さと範囲によって5段階に評価した。清掃後の診査は1週間から1カ月後に行った。舌清掃後の診査時には口臭と舌苔付着量は改善していたが, PPD, BOPやプラーク付着状態には影響がみられなかった。またVSC濃度と舌苔付着度との間には有意な相関が認められたが, BOPやプラーク付着状態との間には有意な関係はみられなかった。口臭の予防のために舌清掃を推奨していく必要性があると思われた。
著者
佐藤 治美 馬場 宏俊 下岡 正八
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.384-395, 2010
参考文献数
30

スケーリングでは各種スケーラーを用いるが,スケーラーやペリオドンタルキュレットは使用目的や部位に合わせて,刃部や頸部形態が異なる.歯科衛生士は,スケーリングを行うために部位に合わせたスケーラーを選択し,安全で効率のよい処置を行うことが求められる.本研究では,歯科衛生士学生がグレーシー型キュレットを選択する際に,キュレットの構成部の確認箇所と選択について眼球運動の測定を行い,人の認知活動について調べた.研究対象者は,日本歯科大学新潟短期大学歯科衛生学科でスケーリングについて基礎実習のみを終了した第1学年45名(1年次生)と,基礎実習を終了し臨床実習中の第2学年43名(2年次生)の学生である.その結果,グレーシー型キュレットを選ぶ際は,1,2年次生ともにスケーラーの刃部および頸部と番号を見ていた.1年次生では刃部および頸部よりも番号を,2年次生では番号よりも刃部および頸部を多く見ており,臨床実習の経験によって注目点は異なった.正解者と不正解者との間では,刃部および頸部と番号を見るということは同じであった.正解者は早い段階で選択を決断できていた.不正解者は注目点にばらつきがあり,さまざまなスケーラーを見た結果,正解を判断できないという傾向がみられた.教育で視覚素材を用いる際には,学習者が視覚素材を教育者と同等に認知していないことに留意し,視覚素材の構成や説明に配慮の必要なことが示唆された.
著者
両角 祐子 佐藤 聡 佐藤 治美 原田 志保 宮崎 晶子 小倉 英夫
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.23-31, 2007-02-28
被引用文献数
3

プラークコントロールは歯周病の予防,治療において最も重要である.本研究では,親指ストッパーを設けた現行型の歯ブラシのヘッドと柄に改良を加えた歯ブラシを作製し,現行型との比較を刷毛のこわさおよび柄の強度で行うとともに,プラーク除去効果に及ぼす影響についても比較検討を行った.また,対照に市販歯ブラシを用い,歯ブラシの種類によるプラーク除去効果および使用感についても比較検討を行った.その結果,以下の結論を得た.1. 刷毛のこわさは2.14〜2.39N/cm^2であった.歯ブラシ柄の衝撃試験ではすべての歯ブラシに破断は認められなかった.2. 歯ブラシの刷毛のこわさおよび柄の柔軟性の違いによるプラーク除去率に有意な差は認められなかった.3. 全顎のプラーク除去率は,改良型歯ブラシが最も高い値を示した.部位別のプラーク除去率では,親指ストッパーを設けた改良型,現行型ともに臼歯部において高い除去率を示した.特に,改良型歯ブラシでは,隣接面,舌側,下顎臼歯において高い除去率を示した.4. アンケート調査の結果では,改良型歯ブラシが全体的に高い得点を示した.親指ストッパーを設けた歯ブラシでは,奥歯の磨きやすさで高い値を示した.以上の結果から,ブラッシングの困難な臼歯部では,グリップに2種類の親指ストッパーを設けることにより,ブラッシング圧を含めた歯ブラシの操作性が向上し,プラーク除去率が高くなることが示唆された.また,改良型では柄に柔軟性をもたせたことにより,より臼歯,舌偏,隣接面へのブラシの到達が可能になったと考えられる.
著者
大森 みさき 宮崎 晶子 佐藤 治美 片野 志保 田邉 智子 将月 紀子 今出 昌一 佐野 晃
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.36-43, 2005-03-28
被引用文献数
5 5

本研究の目的は口臭治療における舌清掃の有効性を評価することである。被験者は舌苔を認める患者および本学職員と学生であった。最初に舌清掃指導して1ヵ月後に舌苔付着量と官能試験を行い,両方に改善が見られることを確認した。その後,舌苔付着を認める26人の被験者の官能試験と機械的測定により口臭の強さを評価した。また,同時に口腔清掃状態,Probing Pocket Depth(PPD),Bleeding on Probing(BOP),舌苔付着度を舌清掃前後において評価した。初回の診査の後,被験者に舌ブラシ(ジャックス)を使用して1日1回は舌苔を除去するよう歯科衛生士または歯科医師が指導した。舌苔の除去は舌の表面に舌苔が見えなくなるまで舌ブラシでこするように指導した。口臭測定はポータブルサルファイドモニターとガスクロマトグラフィを使用し,揮発性硫黄化合物(VSC)濃度の機i械的測定と官能試験を行った。被験者には測定の2時間前から歯磨き,飲食,洗口,喫煙を避けるよう指示した。舌苔付着程度は付着の厚さと範囲によって5段階に評価した。清掃後の診査は1週間から1ヵ月後に行った。舌清掃後の診査時には口臭と舌苔付着量は改善していたが,PPD,BOPやプラーク付着状態には影響がみられなかった。またVSC濃度と舌苔付着度との間には有意な相関が認められたが,BOPやプラーク付着状態との間には有意な関係はみられなかった。口臭の予防のために舌清掃を推奨していく必要性があると思われた。