著者
佐藤 治雄 狩屋 桂子 前中 久行
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.109-112, 1996-03-29
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

時代及び年齢成長にともなう身近な景観や生活の変化が住民にどのように認識評価されているのかを把握する目的で,琵琶湖湖岸2集落(滋賀県中主町野田,能登川町乙女浜)でアンケート調査を実施した。生活体験の変化パターンは調査項目により様々であったが,牛の飼育など2,3の項目を除き,両調査地間に大差はなかった。また,五右衛門風呂に入った,自家用車があるなど多くの項目で高度成長期を境に急激な変化があった。過去の大規模事業として圃場整備,内湖の干拓,河川改修などをあげる人は若年齢層より高齢層の方が多かった。調査結果には生活体験,景観の変化が大規模事業の進捗など社会情勢の変化と密接に関連しつつ現れている。
著者
佐藤 治雄 前中 久行 川原 淳
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.515-520, 1997-03-28
参考文献数
8
被引用文献数
3

測量時期の異なる国土地理院地形図をもとに,琵琶湖湖岸城の昭和30年頃からの約30年間にわたる土地利用の変化を調査した。この期間に行われた河川改修や内湖干拓,土地改良事業,鉄道・道路網の整備などが要因となり,市街地面積は湖東城で2倍,湘南城で3倍に急増し,その変化は湘南城ではやく起こった。また,水田面積は昭和30年頃から45年頃まで湘南域での減少と湖東城での内湖干拓による増加が釣り合い,37 3%から35 7%へ微減したが,その後昭和60年頃までに30.6%へ急減し,多くは市街地に転換された。このような大規模な土地利用変化には,大きな社会資本の投入をともなう国や県レベルでの政策決定が大きく寄与した。
著者
陣門 泰輔 佐藤 治雄 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.397-402, 2000-05-20
被引用文献数
10 5

本研究では森林表土の持つポテンシャルを評価し, その利用法を検討することを目的とした。大阪府茨木市のアベマキ林, モウソウチク林, 千早赤阪村のシイ林, 泉佐野市のコナラ-アオモジ林, 兵庫県西宮市のアカマツ林の森林表土を荒廃地のモデルとした土壌基盤に播きだし, 活性炭素混入, 施肥, 土壌基盤・マサ土との混合, コバノミツバツツジの追加播種などの追加処理を行い, 全木本発芽個体の消長, 高さ・葉張りを追跡調査した。どの森林表土からもアカメガシワなどの先駆木本種の発芽がみられ, 成長を続けた。森林表土播きだしが荒廃地における早期の植生回復に有効であり, 施肥によってより早期の植生回復が望めることがわかった。
著者
中村 彰宏 衣笠 斗基子 陣門 泰輔 谷口 伸二 佐藤 治雄 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.79-84, 2002-08-31
被引用文献数
12 15 17

関西地方の18箇所の森林から表土を採取し,撒き出し施工および実験を行った。多くの森林に生育していたコナラ,アベマキの実生出現頻度は小さかったが,ヒサカキの群落および実生出現頻度はともに大きかった。群落での出現頻度の小さかったアカメガシワ,ヌルデなどの実生出現頻度は大きく,平均埋土種子密度も7個/m^2以上と大きく,表土撒き出し緑化によって,これらの先駆種からなる群落形成の可能性が示された。複数のサブプロットの組み合わせで算出した種数,多様度指数-面積曲線によって,異なる面積のプロット間での多様性の比較が可能となった。低密度出現種の多いプロットでは,出現種数は面積の影響を大きく受けるため,種多様性評価を行う場合には大面積の調査が必要であることが明らかとなった。
著者
関根 達郎 佐藤 治雄
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.241-248, 1992-12-10
被引用文献数
24

Bark stripped from tree trunks and butts by Sika deer, Cervus nippon TEMMINCK, was surveyed in twelve 20×20m^2 plots within 3 forest types on Mt. Odaigahara, Nara Prefecture, Japan. About 90% of Picea jezoensis (SIEB. et ZUCC.) CARRIERE var. hondoensis (MAYR) REHDER and 57% of Abies homolepis SIEB. et ZUCC. trees were barked while deciduous broad-leaved trees such as Fagus crenata BLUME and Quercus mongolica FISCHER ex TURCZ. var. grosseserrata (Bl.) REHDER et WILSON were not barked. The percentages of barked trees in 5 Picea jezoensis var. hondoensis-Sasa nipponica MAKINO et SHIBATA plots on the eastern part of the mountain (1550-1600 m in alt.) were 57% whereas they were 49% in 3 Fagus crenata-Sasa nipponica plots (1450-1550 m) and 17% in 4 Fagus crenata-Sasamorpha borealis (HACK.) NAKAI plots (1300-1450 m) on the western part of the mountain. These percentages appeard to be closely correlated with the intensity of the habitat utilization by Sika deer, assessed by the grazing intensity on Sasa and Sasamorpha leaves and fecal pellet density.