著者
和田 彩 中村 康香 跡上 富美 佐藤 眞理 吉沢 豊予子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.213-219, 2016 (Released:2017-03-18)
参考文献数
43

目的:近年増加する就労妊婦に特化した支援を実現するには,就労妊婦としての特徴や就労妊婦ならではの心情に着目した知見が必要である.本概念分析の目的は「就労妊婦の罪悪感」の概念を明らかにし,今後の研究や就労妊婦に対する看護支援への示唆を得ることである.方法:分析は,Walkerらによる概念分析の手順に沿って行った.罪悪感の一般的な捉え方,心理学,精神医学・精神分析学,看護学における用法の分析の結果,9つの罪悪感の定義属性を抽出した.分析結果を就労妊婦の経験・実態・否定的感情,働く母親の罪悪感という観点から文献検討した内容と統合した.結果:就労妊婦の罪悪感は,[自己規範に違反した際の否定的感情],[行為の自制をする感情],[利益過剰状態に対する感情]の3概念で構成されていた.結論:就労妊婦の罪悪感は,就労妊婦に対する理解を深める上で重要な概念であり,妊娠期の心理的健康に影響を及ぼす可能性も考えられる.今後の更なる研究の蓄積,測定用具の開発が求められる.
著者
佐藤 眞理子 中田 英雄 礒田 正美
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

近年、国際援助コミュニティの教育分野の主な援助手法となっているセクターワイドアプローチについて、援助供与国(アメリカ・スウェーデン)と援助受け取り国(バングラデシュ)の実地調査(インタビュー・資料収集等)を行い、国際社会におけるセクターワイドアプローチの展開状況を分析した。援助供与国では、基礎教育開発援助の具体的事例をアメリカのUSAID(米国国債開発庁)及びSida(スウェーデン国際開発庁)から収集、まとめ、分析した。セクターワイドアプローチは重点領域のモデルとなるデモンストレーション方式で行われ、それらが基本フィールドとなって地域と国レベルでネットワークを構築するというものである。バングラデシュでは、政策支援型援助であるPrimary Education Development Programを取り上げ、バングラデシュ政府のオーナーシップについてバングラデシュ政府側と援助供与側の担当者と協議し、セクターワイドアプローチの課題を明らかにした。結果、セクターワイドアプローチは国際社会では現在共用されている援助手法ではないことが指摘され、今後のさらなる調査が必要とされた。