著者
佐藤 竜一 久保田 壮一 青山 幸太 土屋 江里 宮川 謹至
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.106-114, 2012 (Released:2012-05-01)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

科学技術振興機構(JST)が運用する電子ジャーナルサイト「J-STAGE」は,運用開始から13年が経過し,海外の有力電子ジャーナルサイト等と比較すると,ユーザーインタフェースや機能面を中心にその陳腐化が否めない状況であった。JSTではユーザビリティーの向上,国際発信力のさらなる強化を目的として,新システム「J-STAGE3」を開発し,(1)過去分の公開サイトであるJournal@rchiveの統合,(2)デザイン/ユーザーインタフェースの一新,(3)データベース形式のXML国際標準形式への移行,(4)購読・販売管理機能の強化,(5)学協会運用工数の削減および (6)投稿審査システムの改善を実現する。一方で,2010年度末に国内学協会誌の電子化状況について調査した結果,国内学協会誌の電子化率は全体で62%であったが,人文社会系は34%と依然遅れている。また,言語別で見ると欧文誌92%に対して和文誌は55%という結果になり,さらなる電子化の推進が必要な状況にあることが判明した。このような状況を踏まえ,新システムJ-STAGE3の機能と方向性,国内学協会誌の電子化促進における役割について触れる。
著者
佐藤 竜一
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は,渓流食物網における窒素(N),リン(P)フローを生態学的化学量論の観点から解明するため,様々な底生動物種について,1.食物資源の元素比とその変異,2.栄養素要求(NとPのどちらにより生存,成長,発育が影響されやすいか),3.発育段階及び食物条件による体組織元素比の可塑性,4.回帰する栄養塩の特性(NとPの回帰速度),さらに5.栄養塩添加に対する,落葉リター,微細有機物,藻類のN:P比変化,6.渓流における各発育段階の底生動物種についてのバイオマスの季節変化を明らかにすることを目的とする。渓流における底生動物(シュレッダー)について,食物資源である落葉リターの元素比が,樹種や分解過程によって異なり(目的1),体組織の元素比との比較から,シュレッダーはPよりもNに対する要求度が高いことが示唆された(目的2)。またN:P比の異なる落葉リターを用いた飼育実験から,シュレッダーの元素比可塑性は食物条件よりも発育段階によるところが大きく(目的3),Pの回帰速度はその要求度が規定している可能性が示された(目的4)。さらに,栄養塩の添加によって落葉リターのN:P比,特にP含有率は変化した(目的5)。渓流食物網のエネルギー源として落葉リターが支配的であることから,シュレッダーから他の摂食機能群へのPフローの重要性が示唆されたため,本年度は目的6の達成とともに,シュレッダーについての追加実験を行うことでサンプル数を増やすこと,他の底生動物(コレクター,グレイザー)のそれぞれ数種についてもシュレッダーと同様に栄養素要求の特性について明らかにすることを目的とした。しかしながら,記録的な豪雨による調査地河川の大出水などにより底生動物群集が大きな攪乱を受けた影響で,これらの目的は十分に達成できなかった。