- 著者
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石原 舜三
佐藤 興平
左 容周
金 鍾善
- 出版者
- 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
- 雑誌
- 地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.5, pp.143-158, 2006
- 被引用文献数
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花崗岩風化殻への REE の濃集を見るために,韓国の中部の花崗岩地域 4 箇所(平均降雨量 1,300 mm/ 年)で予察的な調査を実施した.嶺南帯と沃川帯境界部に沿って伸長する三畳紀の片麻状黒雲母花崗岩(帶江岩体)は REE に富み,平均 414 ppm REE+Y,LREE/HREE = 4.8 である.沃川帯の三畳紀咸昌(ハムチャン)花崗岩類は,アルカリとREEに富むグループ(平均 359 ppm REE+Y,L/HREE = 19.0)と,低いグループ(平均 127 ppm REE+Y,L/HREE = 23)に分けられる.他方,嶺南帯南東部の初期ジュラ紀の陜川(ハプチョン)閃長岩は REE+Y(171 ~ 217 ppm)に乏しい.慶尚盆地の杞溪(キゲ)花崗岩は南山アルカリ花崗岩の断層による片割れと言われているが,その含有量は 200 ~ 300 ppm REE+Y であるに過ぎない. 完全風化帯であるB層を中心とする花崗岩風化物は,帶江岩体では花崗岩平均値が 414 ppm REE+Y であるのに対し,風化土壌は 240 ppm REE+Y で希土類元素が減少しており,風化課程における REE の溶脱が考えられる.杞溪岩体でも 342 ppm から 243 ppm REE+Y へ希土類元素は減少している.その他の岩体での増減は不鮮明である.韓国では花崗岩の風化課程で希土類元素の明瞭な濃集は見られない. 忠州鉄鉱床の採掘跡におけるランダム サンプリングによると,この鉱床は平均 0.2% REE+Y 程度の鉱石を保有していたと推定される.