- 著者
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石原 舜三
- 出版者
- 公益社団法人 東京地学協会
- 雑誌
- 地学雑誌 (ISSN:0022135X)
- 巻号頁・発行日
- vol.107, no.1, pp.142-143, 1998-02-25 (Released:2009-11-12)
- 参考文献数
- 4
極東ロシアのシホテリアンからチュコーツクに至る地域は, 西方のシベリア地塊 (先カンブリア紀基盤) の周辺に古生代以降の堆積岩類が発達し, 主に中生代中一後期に火山深成岩活動を伴う地質的背景を有し, 下記の様に多様な鉱物資源が発見されている。1) 原生代中期の地溝帯 : アノーソサイトに伴われるチタン鉄鉱-燐灰石鉱床 (P2O540億トン), 花崗岩に付随するREE, Nb-Ta鉱床など。2) 原生代最末期-カンブリア紀初期の地溝帯 : 層状Fe-Mn鉱床, 堆積性Pb-Zn鉱床など。3) オルドビス-シルル紀の融合-衝突帯 : 花崗岩に伴われるSn, F, Nb-Ta鉱床など。蛍石鉱床は大規模で鉱量4,500万トン (CaF2 32%) 。4) ジュラ紀中期の鉱化作用 : 花崗岩活動に関係する若干のAu, Bi鉱床。5) ジュラ紀後期-白亜紀初期鉱化作用 : 花歯岩と火山岩活動に関係するSn, W, Uなどのスカルン, 鉱脈型鉱床。Wスカルン鉱床が大きい。6) 白亜紀後期-古第三紀の鉱化作用 : 花歯岩と火山活動に関係するSn, W, Pb-Zn, Au-Ag鉱脈型, 一部スカルン及び鉱染型鉱床。カバレロボのSn鉱床は金属量34万トンでロシア最大。他にもコムソモリスク西方に数鉱床群。ダルネゴルスクのPb-Zn鉱床はPb-Zn金属量100万トンクラス。コリマーマガダン地域のデュカートAg鉱脈 (図1) はロシア最大の銀鉱山 (Ag金属量18,000トン, Au約50トン) 。金鉱床としてはナタルカ (図1) が大きく, Au約500トン, シホテアリンではアムール河口域のムノゴベルシンノエ鉱脈でAu金属量100トン以上。