- 著者
-
細井 愛
佐藤 賢治
坂本 武也
親松 学
- 出版者
- 一般社団法人 日本農村医学会
- 雑誌
- 日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.4, pp.780-791, 2016 (Released:2017-01-13)
- 参考文献数
- 9
我が国の高齢化はとどまるところを知らず,医療・介護への要求は高まるばかりであるが,医療・介護資源は充足される兆しすら見えない。新潟県佐渡市は,高齢化率36.8%と抜きんでた高齢社会であり,医療従事者も高齢化している。要医療者の増加と病態の複雑化に対して圧倒的に少ない医療資源で対応しなければならず,提供できる医療の維持すら困難になりつつある。こうした問題に対応するため,平成25年から新しい地域医療連携ネットワーク,通称「さどひまわりネット」が稼働した。診療報酬明細情報を核に,電子カルテの有無にかかわらずすべての参加医療機関の病名・処方内容・処置内容・検体検査結果・画像結果を自動的に抽出し,相互に共有するシステムである。介護施設利用者が医療機関を受診する機会も激増しているが,医療と介護の間には,医療従事者の意識の問題などもあり,スムーズな情報の伝達がしづらいという問題が存在する。このたび,「さどひまわりネット」を用いて,介護側から利用者の日常生活動作や日常的なバイタルの情報を提供できる環境を構築する取り組みを開始した。本稿では医療と介護の機能的な連携を実現することを目的としてどのようなネットワークシステムを構築したかについて述べる。