著者
依田 光正 塩田 泰仁
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.9-15, 1999-02-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
17
被引用文献数
4 2

本研究では, 人間同士のすれ違い行動における回避軌跡に基づいた回避領域を実験的に求めた. すれ違い行動軌跡の一般的な特性を知るために, 路上におけるすれ違い行動の実験を実施した. 実験はVTRで記録し, 動作軌跡を大きく3つの行動タイプに分類した. 最も出現頻度が高く回避領域抽出に適した行動タイプは, 被験者が実験者まで接近してから相手を避けて被験者の初期軌道に復帰する行動であった. この行動タイプの回避領域を求めるために実験室内におけるすれ違い行動の実験を実施して, 静止, 歩行および小走りしている実験者に対して歩行している被験者がすれ違う回避軌跡を分析した. 回避動作の特性として, 回避軌跡は懸垂線に最適に近似し, 歩行速度はほぼ一定であることを見いだした. さらに, 懸垂線の軌跡から回避領域を算出した. 実験結果から, 被験者が静止および歩行している実験者とすれ違う回避領域はほぼ等しいことを確認した.
著者
後藤 浩 依田 光正 城内 博 竹澤 三雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.11-22, 2018 (Released:2018-05-20)
参考文献数
37
被引用文献数
1

水辺空間は,良好な景観や憩いの空間を形成するためのツールとして都市空間に存在しているが,その一方で,水面などからの反射光に弱い者が存在する.子どもでは,点滅閃光に弱い障がいを有する者がおり,高齢者では,強い光によるグレアに弱い者がいる.このような光に対する弱者への水面反射光に対する医学的対応としては「親水空間へ近づかないように」との指導がなされているのみで,現状,根本的な解決策はなく,工学的技術による助力が必要な状況である.本研究では,室内水理実験を実施することによって,反射光の特性をコントロールする基礎的な知見を得るとともに,現在,都市空間内に存在する水を利用した親水空間形成のための構造物の設置状況を調査し,その影響について検証した.
著者
依田 光正 高崎 幸雄 笠井 史人 水間 正澄
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.129-133, 2002-04-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
10

症例は57歳女性.くも膜下出血に脳梗塞を併発し, 発症5カ月後に当院へ入院.左半側空間無視・左片麻痺を認め, 左下肢は痙性亢進のため屈曲共同運動が著明で伸展が困難であった.運動療法, 薬物療法は効果が上がらず, 局所麻酔薬による坐骨神経ブロックを計10回施行した.次第に膝屈曲筋群の痙性は減弱し, 膝伸筋群の収縮がみられ, 下肢の支持性は向上し歩行可能となった.神経ブロックで一過性に膝屈筋群を弛緩させ, 相反性抑制を解除することが伸筋群の収縮を可能とし, 伸筋群に収縮が生じることで逆に屈筋群へ相反性抑制がかかり屈筋群の痙縮が軽減, その結果, 左下肢の支持性・歩行能力が向上したと考えられる.