著者
長岡 里奈 鈴木 理恵子 大瀧 雅文 保前 英希 金元 信子 酒井 利佳 只石 かほり 島田 勝規
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.491, 2011

当院における地域医療連携室での転院調整は、1)療養型病院への転院 2)紹介元への転院 3)地域連携クリニカルパスを利用した転院に分けられる。今回は3)の地域連携クリニカルパスを利用した転院調整に焦点を当て、地域医療連携室の役割について考察する。<BR>十勝圏では、2008年度より『十勝脳卒中地域連携パス(以下脳卒中パス)』の運用を開始した。脳卒中パスは現在、急性期病院3病院と回復期病院4病院間で運用されている。当院(計画管理病院)では、2010年度末までの3年間に計284名が回復期病院へ転院している。<BR>脳卒中パスの運用における地域医療連携室の役割として、1)転院・退院調整看護師による医療・看護アセスメント 2)医療ソーシャルワーカー(以下MSW)による患者・家族との面談 3)パスデータを用いた転院調整業務が挙げられる。看護師とMSWが協働し転院調整窓口となることにより、患者や患者家族が抱える諸問題の早期発見・早期解決、院内外関係職種との連携強化につながっている。<BR>1)転院・退院調整看護師による医療・看護アセスメントとは、患者基礎情報の集約(病態理解および病態予測)、転院先・退院先に向けた医療連携(入院中の医療処置や看護を回復期病院もしくは維持期へ繋げていくための調整)等が挙げられる。2)MSWが行う患者・家族との面談では、各種制度等の情報提供および利用支援(介護保険・傷病手当金・身体障害者手帳申請等)、医療費未払い防止(高額療養費・生活保護申請支援)等についての説明を行っている。3)脳卒中パスデータを用いた転院調整業務としては、院内各職種のデータ集約・データを用いた回復期病院への打診・転院日程調整業務等が挙げられる。<BR>
著者
松島 理明 高橋 育子 保前 英希
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.147-151, 2012 (Released:2012-03-28)
参考文献数
16

症例は53歳の女性である.貧血に対する1カ月の鉄剤内服でHb 3.5g/dl が8.9g/dl と改善した.入院当日頭痛や痙攣を主訴に救急搬送され,搬入後痙攣重積となった.高血圧を呈し,脳MRIで両側後頭葉などに異常信号をみとめた.髄液蛋白は上昇していた.人工呼吸管理下のチアミラール持続静注で痙攣は収束し,意識状態の改善,脳MRI異常の消退をみとめ,posterior reversible encephalopathy syndrome(PRES)と診断した.PRESの背景として高血圧や薬剤性などがあるが,本症例のように比較的急速な貧血補正で発症するばあいもある.貧血補正の際は慎重さを要する症例が存在する.