著者
保田 ひとみ 柳原 真知子 畑下 博世 西条 旨子
出版者
金沢医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

里帰り分娩は、親からの支援を受けることができる一方、夫の家事育児の減少、夫婦関係や父子関係への影響が懸念されている。そこで、妻が里帰り分娩から自宅へ戻った後1か月における、夫婦の3人の家族作りの体験を、質的記述的研究法を用いて分析した。結果、夫婦は、里帰り分娩をして良かったと捉えており、実家の支援を受けながら、里帰り中は、「頻繁な連絡により夫婦関係・父親の意識を高める」、自宅へ帰って1か月後の頃では、「夫婦が互いに気遣い、初めての子どもを育てていく」という体験をしていた。
著者
保田 ひとみ 畑下 博世
出版者
愛知県立看護大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

昨年度は、妊娠初期から産後1ヶ月までの夫の役割変換における縦断研究のうち、2組の夫婦を対象にし、それぞれの夫について妊娠初期と中期における夫の役割変換の過程を明らかにすることに取り組んだ。その結果、妊娠初期では、「妊娠への関心」、「妻・胎児へ関心を向け始める」、「漠然とした家族像の描写」の3つのカテゴリーが抽出され、妊娠中期では、「妻の身体・心理・社会的変化への関心」、「妻・胎児へ関心の上昇」、「妻・胎児へ関心の低下」、「漠然とした家族像の描写」の4つのカテゴリーが抽出された。そして、これらのカテゴリーは、両時期ともにそれぞれが関連し合っていることが明らかになった。本年度は、昨年度の対象に2組を加えて引き続き、妊娠初期から産後1ヶ月までの夫の役割変換の過程について明らかにした。研究方法は、本年度加えた2組の対象のそれぞれの夫に対しては、1.妊娠確定後妻の状態が安定した時期(1回目)、2.胎動知覚の時期(2回目)、3.分娩前の時期(3回目)、4.産後早期の時期(4回目)、5.産後1ヶ月頃の時期(5回目)に5回の面接を行った。昨年度からの対象の2人の夫には、それぞれ3回目から5回目の面接を行った。4人の夫の面接内容は昨年と同様に質的に分析した。その結果、妊娠確定後妻の状態が安定した時期(1回目)、2.胎動知覚の時期(2回目)においては、新しいカテゴリーの抽出はなかったが、1回日の面接で抽出された、「妊娠への関心」のカテゴリー名を「子どもを持つことへの関心」に、「妻・胎児へ関心を向け始める」のカテゴリー名を「妻・胎児へ関心」に変更した。分娩前の時期(3回目)では、「妻の身体・心理・社会的変化への関心」、「妻・胎児への関心の上昇」、「人間としての成長発達」、「漠然とした家族像の描写」の4つのカテゴリーが、産後早期の時期(4回目)と産後1ヶ月頃の時期(5回目)では、「第1子を迎える」、「妻・第1子への関心の上昇」、「人間としての成長発達」、「漠然とした家族像の描写」の4つのカテゴリーが抽出され、1回目から3回目と同様にそれぞれが関連し合っていた。以上の結果より、妻と第1子に関心を持ち続けることが夫の人間としての成長発達を促していると考えられた。