著者
傳田 定平
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.1-4, 2008-01

麻酔科として日々の臨床業務に加え,インフォームドコンセントの充実,教育指導等,病院社会から多くのことが要求されるようになってきました.臨床業務量が増えていくなかで,それ以外の仕事量が確実に増えてきています.日本の麻酔科医師は着実に増加していると言われていますが,女性医師の問題,麻酔科業務の多様性から手術室における麻酔科医実働人数が増加してきません.特に新潟県の場合,人口比に占める麻酔科医師の割合が低レベルです.業務量の過多,社会や職場の無理解,人間関係,健康面等,いろいろな不満,不安を理由に麻酔科医師が病院を辞し,手術が充分できないことが社会問題となっています.病院を辞した麻酔科医は別の病院に勤務するか,どこの組織にも属さずフリーの麻酔科医として術中管理のみを出張で行っています.ただでさえ少ない人数の麻酔科医であるにもかかわらず,自分が病院を辞すことによりいかに大きな影響を社会に及ぼすかをよく考えて行動しなければならないと思います.われわれ麻酔科医はチーム医療を担う一員として信頼される医師,さらに,質の高い病院を築く構成員として努力していくことが使命であると考えます.
著者
傳田 定平 梅香 満 大久保 涼子 西塔 志乃 小村 玲子 西巻 浩伸
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.115-118, 2015 (Released:2015-06-26)
参考文献数
10

下肢の幻肢痛患者に対して健常者の下肢の運動の動画をタブレット型端末装置(iPad®)に取り込み,患者の患側肢の上に保持して動画を再生し,その動きをイメージすることで除痛を得ている症例を報告する.症例は33歳の女性.X-14年1月交通事故が原因で左大腿部切断.幻肢痛に対してX-3年10月実際の鏡を用いての鏡療法を開始,X-2年7月iPad®を用いた鏡療法を開始した.従来の鏡療法導入後痛みは軽減したが,施行にあたっては大きな鏡を必要とする.一方,iPad®を用いた鏡療法は時と場所を選ばず簡便に実施可能である.また,非断端肢に運動障害があっても施行可能であり有用であった.
著者
早津 恵子 冨田 美佐緒 傳田 定平 遠藤 裕 下地 恒毅
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.50-53, 1998-04-20 (Released:2010-06-08)
参考文献数
15

5例の意識障害患者に対するESCS (epidural spinal cord stimulation, ESCS) の経験をレトロスペクティブに調査し, 同療法の有用性を検討した。5例中3例で臨床症状の改善をみたが, 結果は全例が植物症として意識障害を残した。植物症の分類では1段階の改善にとどまり, 植物症から脱却した症例はなかった。ESCS後の検査所見では改善がみられた症例が3例あった。これらの結果が自然回復によるものかESCSによるものかは, 厳密には評価できなかった。客観的な効果判定のためにも, 定期的な生理検査を行う必要性を感じた。