- 著者
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児玉 康弘
- 出版者
- 広島大学
- 雑誌
- 研究紀要 (ISSN:13444441)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, pp.1-13, 2000-03-31
歴史の教科書の記述には, 不自然な箇所が散見される。その最大の理由は, 新しい歴史解釈と古い歴史解釈が混在して叙述されているからである。世界史の教科書では, 特にイギリス近現代史の部分で, 新旧の解釈が無理に継ぎ合わされて論理的に矛盾をきたしている叙述が見られる。従来の「イギリス市民革命論」に対して, 「ジェントルマンの帝国支配論」が有力になりつつあるからである。両者は本来, 対立する歴史解釈であり, 前者をベースとする記述の中に, 後者の解釈の一部が添えられているため, 教科書記述に基づいた授業構成が困難になっている。そこで, 小論では, この問題に対応するために「解釈批判学習」の意義と必要性について述べたい。その際, 事例として「ウォルポールの辞任」を取り上げた新しい単元構成の在り方を示していく。