著者
児玉 康弘
出版者
広島大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13444441)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.1-13, 2000-03-31

歴史の教科書の記述には, 不自然な箇所が散見される。その最大の理由は, 新しい歴史解釈と古い歴史解釈が混在して叙述されているからである。世界史の教科書では, 特にイギリス近現代史の部分で, 新旧の解釈が無理に継ぎ合わされて論理的に矛盾をきたしている叙述が見られる。従来の「イギリス市民革命論」に対して, 「ジェントルマンの帝国支配論」が有力になりつつあるからである。両者は本来, 対立する歴史解釈であり, 前者をベースとする記述の中に, 後者の解釈の一部が添えられているため, 教科書記述に基づいた授業構成が困難になっている。そこで, 小論では, この問題に対応するために「解釈批判学習」の意義と必要性について述べたい。その際, 事例として「ウォルポールの辞任」を取り上げた新しい単元構成の在り方を示していく。
著者
伊賀 泰恵
出版者
広島大学附属中・高等学校
雑誌
研究紀要 /広島大学附属中・高等学校 (ISSN:13444441)
巻号頁・発行日
no.46, pp.67-77, 2000-03-31

英語教育の目標にコミュニケーション能力の育成が掲げられているが, 単語や文法を使いこなす術を習得することだけであろうか。言葉の背景にある生活の相違を理解して興味をもつことが必要であると考える。外国の文化を理解するために, その言語が話されるその地に住んでみるといいのだが, ほとんどの学習者にとって, まず, その機会はない。そこで, 文化的背景を知る上で, 学習者にとって, できるだけわかりやすい教材は何かと考えてみると外国の絵本が思い浮かんだ。絵本は最も初歩的に異文化に触れ得る教材であろう。以上のような発想に基づいて外国の絵本の日本語版翻訳と日本の絵本の英語版翻訳を生徒に課する学習計画を考案し, 実践してみた。その活動過程の楽しさと想像をふくらませて間接的経験をすることで, 興味と意欲をひきだせないものかと考えた。その結果, 生徒は絵本を積極的に選択し, 集中して翻訳作業をし, オリジナル翻訳を作成したという達成感を得たようである。楽しく学べたことが, コミュニケーションへの自信にも繋がると期待する。
著者
一ノ瀬 孝恵 日浦 美智代
出版者
広島大学附属中・高等学校
雑誌
研究紀要 /広島大学附属中・高等学校 (ISSN:13444441)
巻号頁・発行日
no.50, pp.37-44, 2004-03-01

中学校選択教科「家庭」では, 昨年度から「植物に親しむ」ことをテーマに「梅シロップ作り」「ハーブの栽培」「染色」「そば作り」「みそ作り」の授業を展開し, それらの中から「そば作り」に関する教材開発を図った。ゲストティーチャーの大久保氏から教わった30分でできるそば打ちの授業で, 生徒はそばについて興味を持ち, 家庭で積極的にそば打ちを行うようになった。今年度は, 生徒に家庭で気軽に実践できるそば打ちを体験させながら, そばアレルギーの生徒に対応すべく新たなメニューの開発を試みたので報告する。
著者
湯浅 清治
出版者
広島大学附属中・高等学校
雑誌
研究紀要 /広島大学附属中・高等学校 (ISSN:13444441)
巻号頁・発行日
no.46, pp.23-29, 2000-03-31

本報告は, 地理教育の基礎である地図を初等・中等教育の教育課程においてどのように取り扱うかを検討する1試案である。地図は大きく, 中・小縮尺図(ほぼ都道府県レベル以上)と大縮尺図(身近な地域レベル)に分けて考えるととらえやすくなる。社会科・地理教育関連の教科書・副教材等における扱われ方をみると, 様々な場面で地図が使用されていること, そして中・小縮尺図が圧倒的に多く利用されていることに気付く。地図というものが児童・生徒にとって様々な機会で情報源・分析や発表手段等に使用されている状況下で, その効果を高めるためにどのような地図教育が行われたらよいのかを, 初等・中等教育を通したカリキュラムにおいて様々な角度から調べようとするものである。近年, 中等教育6年制或いは小中高一貫の観点が取り上げられ始めたところであり, 地図教育のカリキュラムに関する検討も少ない現状で, 今から求められる趨勢にあるといえよう。「地図が重要」, 「地図こそが地理(教育)の特徴」といいつつ, 地図の存在を自明のものとして使っている現状と判断し, まさにその現状が「地図が不得手」「地図に親しみを持たない」生徒を多くしている原因の一つと考える。こうした現状を鑑み, 小・中・高等学校の12年間における地図の理解及び活用を整理するマトリックスづくりは地理教育において極めて有益である。本報告は, その第一歩をしるす短報として, 中学校における地形図学習の一つのあり方を提示する実践報告である。
著者
西本 眞 西原 利典 井上 芳文 内海 良一 大隈 教臣 由利 直子
出版者
広島大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13444441)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.93-108, 2003-03-28

「生徒自身の手で自律した体育祭を創る」・・・・・・2002年2月2日付けで高校体育祭運営局から提示されたコンセプトである。それより遡ること4ヶ月前の2001年11月,高校生徒会執行部から2002年度「学校祭」基本方針(案)が提出された。その冒頭に次のように謳ってある。「学校祭(文化祭・体育祭)は,本校の伝統的校風である自出・自主・自律の精神を発現する場であり・・・・・・(中略)・・・・・・主体的な学習の場である。(後略)」生徒たちの中には学校行事を「学びの場」として捉え,それを「自律的に」運営していこうという意識がある。これは今に始まったことではなく,長年本校で培われてきた精神である。ではそれを支える教職員側の意識・態勢はどうであったのか。本稿は2000年度入学生を受け持った6人の担任団がどの場面で何を学ばせようと意図して「学びの場」としての行事を仕掛けていったのか,その実践の記録である。