著者
平川 経晃 小寺 良尚 福田 隆浩 公益財団法人日本骨髄バンク 黒澤 彩子 田島 絹子 山崎 裕介 池田 奈未 小島 裕人 田中 秀則 金森 平和 宮村 耕一
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.153-160, 2018

<p>骨髄バンクコーディネートにおける実情把握を目的として,2004年1月~2013年12月に日本骨髄バンクへ登録された患者18,487人,ドナー延べ223,842件の解析を行った。末梢血幹細胞移植例は除外した。移植到達患者あたりのコーディネート件数の中央値は11件,登録から移植までの日数中央値は146日,登録患者の40%が移植未到達であった。HLA6/6抗原フルマッチドナー推定人数が多い場合に,移植到達率が上昇し,移植到達日数が短縮した。ドナー側のコーディネート終了理由は年齢・性別で異なり,20代男性ドナーは健康理由による終了率が低く,ドナー都合による終了率が高かった。複数回コーディネートを受けたドナーのうち,前回の終了理由が患者理由の場合,ドナー理由で終了した場合と比較して採取到達率が高かった。本結果を基盤情報として,より効率的で迅速なコーディネートを目指した施策の検討が必要であると考えられた。</p>
著者
黒澤 彩子 田島 絹子 遠峰 良美 吉内 一浩 福田 隆浩 公益財団法人日本骨髄バンク
出版者
一般社団法人 日本造血細胞移植学会
雑誌
日本造血細胞移植学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.60-69, 2019
被引用文献数
1

<p> 骨髄バンクコーディネート終了時のアンケート調査より,幹細胞提供行動と,ドナーの心理社会的要因の関連を検討した。対象は健康理由または患者側の理由による終了例を除外したドナーとし,2017年4月~5月を調査期間として870人にアンケートを発送,385人より回答を得た(終了群315人,提供群70人)。ロジスティック回帰では,本人の協力度が非常に高いこと,不安が少ないこと,職場・家族の調整や説得が難しくないことが,幹細胞提供に至りやすい有意な要因であった。献血回数11回以上であることは,単変量解析にてオッズ比2.5を示した。雇用状態にあるドナーの検討では,年休のとりやすさが幹細胞提供に至りやすい有意な要因であった。終了群における提供できなかった理由は "仕事への影響" が43%,"家族の反対" 21%,"家庭生活への影響" 15%,"リスク・不安・怖さ" 11%であった。本調査から,幹細胞提供に関連する要因として,ドナー本人の協力度や職場・家庭生活の調整などが抽出された。今後,より詳細な大規模調査により,ドナーの心理社会的要因と,幹細胞提供行動の関連を検討し,具体的な施策につなげたい。</p>