著者
内原 俊記 融 衆太
出版者
医学書院
雑誌
総合診療 (ISSN:21888051)
巻号頁・発行日
vol.29, no.12, pp.1507-1509, 2019-12-15

認知障害やParkinson病の背景となる疾患は多様で、臨床診断が病理と異なる割合は、Parkinson病で25%1)、認知症では15〜70%に及ぶとの報告がある2)。髄液や画像所見を用いて診断精度を向上させようとする研究は盛んで、病態の一端を反映していることは確かだが3)、最終病理診断を参照して、これらの臨床検査の精度を評価した研究はほとんどない。臨床診断との相関を見ているこれらの検査は、たとえ理論的背景があっても、臨床診断の精度を超えることはないことを念頭に置く必要があり、診断の確定には病理解剖が不可欠である現状に変わりはない。 各疾患についての臨床像は本特集の別稿に譲り、本稿では、臨床診断と病理診断がどのように乖離するかについて解説する。
著者
宍戸-原 由紀子 内原 俊記 三條 伸夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.479-488, 2016-04-01

進行性多巣性白質脳症(PML)は,宿主の免疫低下に伴いJCウイルスが再活性化して起こる脱髄脳症である。臨床的に免疫低下の原因が不明瞭で,髄液ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)でウイルス陰性でもなお,画像上PMLの可能性を否定できず脳生検を施行する場合がある。こうした症例では,病理診断の指標となる典型的な核内ウイルス封入体を有する細胞に乏しく,高度な炎症細胞浸潤を伴う場合がある。JCウイルスに対する宿主免疫応答が保たれている状態と考えられ,予後は良好である。本稿では,炎症反応を伴ったPMLについて,近年問題となっている免疫再構築症候群も含め,概説する。
著者
内原 俊記 織茂 智之 橋本 款 和田 昌昭
出版者
公益財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ヒト剖検脳のαシヌクレインは軸索遠位から神経細胞体へ向かって進展する点で、樹状突起から細胞体へ進展するにつれて4リピートから3リピートへ変化するタウとは異なることを示した。これを反映して、レヴィー小体病では軸索末端が早期から脱落し、これをとらえる MIBG心筋シンチグラフィーが高い診断特異性を有する病態背景を明らかにした。さらこれらの病変の光顕像と免疫電顕像を直接対比できる新たな手法を開発した。今後分子機序との関連を追及するのに強力な手段となる。