著者
内山 成人
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.356-363, 2015-07-15 (Released:2015-09-01)
参考文献数
78
被引用文献数
1 5

S-equol is a major intestinally-derived bacterial metabolite of daidzein, one of the principal isoflavones found in soybeans and most soy foods. S-equol has a similar structure to estrogen, and binds to estrogen receptors to exhibit estrogenic activity. S-equol has been shown to bind to estrogen receptors (ER) α and β and to effectively activate both receptors, although with greater transactivation of ERβ. It has been proposed that the ability to make S-equol when soy is consumed may be an important factor in determining the clinical efficacy of a soy diet, the so-called “equol hypothesis”. Equol has many beneficial effects on menopausal women. However, equol production depends on the individual’s intestinal flora; and research has shown that only 30 to 50% of individuals in the populations studied are capable of producing equol from daidzein. A lactic acid bacterium, Lactococcus garvieae (Lactococcus 20-92 strain), with equol-producing capabilities was identified and isolated from human feces. Recently, we standardized the production of an S-equol supplement (SE5-OH) using this strain. Reports suggest that the S-equol supplement contributes positively to menopausal symptoms, bone health, metabolic syndrome and skin aging. In this paper, we introduce new insights into equol or SE5-OH based on epidemiological and clinical study.
著者
内山 成人 木村 弘之 上野 友美 鈴木 淑水 只野 健太郎 石見 佳子
出版者
JAPAN BIFIDUS FOUNDATION
雑誌
腸内細菌学雑誌 = Journal of intestinal microbiology (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.221-225, 2007-07-01
被引用文献数
3

我々がエクオール産生乳酸菌としてヒト腸内より単離したラクトコッカス20-92株は,<i>Lactococcus garvieae</i>(以下<i>Lc. garvieae</i>)と同定された.ラクトコッカス20-92株の安全性評価のために,<i>Lc. garvieae</i>の食歴およびヒト腸内常在性について検討した.イタリアの伝統的チーズおよび日本人の健常人女性より採取した糞便からの<i>Lc. garvieae</i>検出は,<i>Lc. garvieae</i>に特異的なPCRプライマーを用いたRT-PCR法あるいはリアルタイムPCR法により行った.イタリアおよび日本で入手したイタリア産の伝統的なチーズ7種類(トーマ・ピエモンテーゼ,ラスケーラ,ブラ・ドゥーロ,ブラ・テネーロ,ムラッツアーノ,カステルマーニョ,ロビオラ・ディ・ロッカヴェラーノ),21検体に<i>Lc. garvieae</i>が検出された.また,ヒト糞便サンプル135検体中,49検体に<i>Lc. garvieae</i>が検出された(検出率36.3%).本研究結果より,<i>Lc. garvieae</i>が伝統的に食されてきたチーズ中に存在していることが確認できたことから,その食歴を明らかにすることができた.さらに,健常人の腸内に常在していることも明らかとなり,<i>Lc. garvieae</i>の安全性は高いものと考えられた.したがって,ヒト腸内由来のラクトコッカス20-92株も,同様に安全性の高い菌株であることが示唆され,今後,食品としての利用が可能と考えられた.<?FM: DEBUG [] ELEMEND 0><br><?FM: DEBUG [] ELEMEND 0>
著者
内山 成人 上野 友美 鈴木 淑水
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.217-220, 2007 (Released:2007-08-17)
参考文献数
16
被引用文献数
6

大豆イソフラボンのエストロゲン様作用/抗エストロゲン作用による健康ベネフィットが期待されているが,最近はその代謝物であるエクオールの生理作用が注目されている.エクオールは,腸内細菌により産生される活性代謝物であるが,その生成には個人差が存在し,エクオールを産生できない非産生者がいる.エクオール非産生者では,大豆イソフラボンを摂取しても十分な効果が期待できないと考えられる.そこで,我々は,食品として利用可能なエクオール産生菌を探索することを目的として,ビフィズス菌と乳酸菌(ラクトバチラス属)についてスクリーニングを行い,さらにヒト糞便中からの単離を検討した.ビフィズス菌と乳酸菌(ラクトバチラス属)の登録株213株のエクオール産生能を評価したが,いずれの菌株にもエクオール産生能は認めなかった.健常成人の糞便よりエクオール産生菌として新たに3菌株を単離し,1菌株に乳酸生成を認めたため16S rDNAシークエンス解析により同定した.その結果,Lactococcus garvieaeと同定され,菌株名を“ラクトコッカス20-92”とした.ラクトコッカス20-92によるエクオールの生成は,増殖後の菌数が定常状態になって発現するという特徴を示した.我々は,エクオール産生菌として食品に利用可能と考える乳酸菌(ラクトコッカス20-92株)を単離することに初めて成功した.これにより,今後,ラクトコッカス20-92株の食品への応用が期待できるものと考える.
著者
内山 成人 上野 友美 鈴木 淑水
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 = Journal of intestinal microbiology (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.217-220, 2007-07-01
参考文献数
16
被引用文献数
3

大豆イソフラボンのエストロゲン様作用/抗エストロゲン作用による健康ベネフィットが期待されているが,最近はその代謝物であるエクオールの生理作用が注目されている.エクオールは,腸内細菌により産生される活性代謝物であるが,その生成には個人差が存在し,エクオールを産生できない非産生者がいる.エクオール非産生者では,大豆イソフラボンを摂取しても十分な効果が期待できないと考えられる.そこで,我々は,食品として利用可能なエクオール産生菌を探索することを目的として,ビフィズス菌と乳酸菌(ラクトバチラス属)についてスクリーニングを行い,さらにヒト糞便中からの単離を検討した.ビフィズス菌と乳酸菌(ラクトバチラス属)の登録株213株のエクオール産生能を評価したが,いずれの菌株にもエクオール産生能は認めなかった.健常成人の糞便よりエクオール産生菌として新たに3菌株を単離し,1菌株に乳酸生成を認めたため16S rDNAシークエンス解析により同定した.その結果,<i>Lactococcus garvieae</i>と同定され,菌株名を"ラクトコッカス20-92"とした.ラクトコッカス20-92によるエクオールの生成は,増殖後の菌数が定常状態になって発現するという特徴を示した.我々は,エクオール産生菌として食品に利用可能と考える乳酸菌(ラクトコッカス20-92株)を単離することに初めて成功した.これにより,今後,ラクトコッカス20-92株の食品への応用が期待できるものと考える.<br>
著者
内山 成人 木村 弘之 上野 友美 鈴木 淑水 只野 健太郎 石見 佳子
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.221-225, 2007 (Released:2007-08-17)
参考文献数
13
被引用文献数
1

我々がエクオール産生乳酸菌としてヒト腸内より単離したラクトコッカス20-92株は,Lactococcus garvieae(以下Lc. garvieae)と同定された.ラクトコッカス20-92株の安全性評価のために,Lc. garvieaeの食歴およびヒト腸内常在性について検討した.イタリアの伝統的チーズおよび日本人の健常人女性より採取した糞便からのLc. garvieae検出は,Lc. garvieaeに特異的なPCRプライマーを用いたRT-PCR法あるいはリアルタイムPCR法により行った.イタリアおよび日本で入手したイタリア産の伝統的なチーズ7種類(トーマ・ピエモンテーゼ,ラスケーラ,ブラ・ドゥーロ,ブラ・テネーロ,ムラッツアーノ,カステルマーニョ,ロビオラ・ディ・ロッカヴェラーノ),21検体にLc. garvieaeが検出された.また,ヒト糞便サンプル135検体中,49検体にLc. garvieaeが検出された(検出率36.3%).本研究結果より,Lc. garvieaeが伝統的に食されてきたチーズ中に存在していることが確認できたことから,その食歴を明らかにすることができた.さらに,健常人の腸内に常在していることも明らかとなり,Lc. garvieaeの安全性は高いものと考えられた.したがって,ヒト腸内由来のラクトコッカス20-92株も,同様に安全性の高い菌株であることが示唆され,今後,食品としての利用が可能と考えられた.
著者
内山 成人
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.356-363, 2015
被引用文献数
5

日本人女性の平均寿命は86.4歳(2012年)と世界一であるが,介護なしで過ごせる健康年齢は73.6歳と12.8年の差があり,いかに健康年齢を維持するかが問題である。一方,女性の閉経年齢は50歳前後であり,閉経後のQOLが健康年齢にとって重要になってくることは言うもでもない。これまで大豆イソフラボンの女性ホルモン様作用(エストロゲン様作用)が着目され,種々の研究結果が報告されてきたが,その結果が一致していないため,十分なエビデンスがないと結論付けられているのが現状である。そこで,2002年にセッチュルらは大豆イソフラボンの活性本体が代謝物のエクオールではないかとの仮説,つまり"エクオール仮説"を提唱し,エクオールが着目されるようになった。最近我々は,エクオールを直接摂取可能な食品(SE5-OH)を開発したので,その開発背景と有用性について紹介する。