著者
内田 善久 伊藤 正人
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1-2, pp.71-87, 1997-06-30 (Released:2017-06-28)

本稿では学際的領域としての採餌行動研究の最近の発展を概観した。最適餌場利用、最適食餌、頻度依存捕食という3つの話題に対してオペラント心理学が培ってきた方法論を適用した研究に主眼がおかれた。行動生態学から導出された最適餌場利用と最適食餌という最適性モデルは、動物は最も効率的に餌を採るという仮定を共通に持つ。最適餌場利用と最適食餌の問題に適用された、強化スケジュールを用いた実験室シミュレーションは、最適性モデルによる予測の検証や移動時間、餌の分布等の採餌行動に及ぼす様々な要因の効果を検討する上で有効な方法論であることが示された。また、頻度依存捕食とは動物が相対頻度の高い餌を過剰に摂食する現象のことを指す。この現象に適用された、並立連鎖スケジュールを用いた実験室シミュレーションの結果は、餌の目立ち易さの要因が頻度依存捕食を生起させる上で重要であることを示した。これらの知見から、実験室シミュレーションが最適性モデルによる予測の検討や採餌行動に影響する要因の探求に際して強力な道具となることが明らかにされた。
著者
森 吉昭 内田 善久 中野 靖 吉越 洋 石黒 健 太田 秀樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.687, pp.233-247, 2001
被引用文献数
3

大型重機により現場転圧された粗粒材料の高応力下での圧縮性状について検討を加えた. フィルダムロックゾーンの築堤時実測沈下データを整理し, 大型ダムのような高応力下では転圧された粗粒材料が弾塑性的な圧縮変形挙動をとること, 圧縮変形量が粒子サイズ, 粒度分布, 間隙比などの影響を受けて変化することを明らかにした. 実堤体の材料定数を, 供試体の粒子サイズに制約を設けた室内試験結果によって直接評価できないことを指摘し, 現場材料と室内供試体の材料粒度の違いに関する変形パラメータの補正方法を示した後, これを用いてあるロックフィルダムの築堤, 湛水工程を再現した応力変形解析を実施した. 解析結果は実測値と概ね良好な一致を示し, 提案手法の実務レベルでの適用性が確認された.