著者
石原 久代 橋本 令子 内藤 章江 井澤 尚子 成田 巳代子 橘 喬子 芦澤 昌子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.244, 2011

目 的 社会において色は重要な情報伝達手段であるが、色弱者への配慮は一部を除いてほとんどされていない。特に衣服は、コーディネートの観点から色そのものを把握する必要がある。そこで、我々は色弱者に配慮した衣服の色表示を提案するために、これまで色票を用いて色弱者の色認識や色弱模擬フィルタを用いた判別、色名の認知について検討してきた。本報では衣服の色を想定して布地の色の認識について実験を行い、検討した。方 法 試料は、前報の結果から選出した125色に「色覚の多様性に配慮した案内・サイン・図表等用のカラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」の20色を加えた145色の綿ブロードを用いた。被験者は、正常色覚者14名、色弱者6名、色弱模擬フィルタを装着した正常色覚者7名で、実験は各試料の色名を回答させる方法で行った。色名はJISの基本色名に推奨配色セットの色名を加えた赤・黄赤、黄、黄緑、緑、青緑、青、青紫、紫、赤紫、白、灰、黒、茶、ピンク、水色、肌色、紺色、クリーム、焦げ茶、ねずみ色、空色、ベージュの23語とし、付与できる修飾語は、うすい、濃い、明るい、暗い、鮮やかなの5語とした。結果及び考察 色弱者は、正常色覚者や色弱模擬フィルタ装着者に比べ、修飾語の使用率が高かった。修飾語について正常色覚者は「うすい」を多く用いているのに対して、色弱者は「明るい」「鮮やかな」の使用率が高く、模擬フィルタ装着者は「暗い」が多かった。色名について、色弱者はピンクや赤紫の使用が多かった。また、色弱者には本来識別しにくいとされる赤や橙、緑、青緑などの使用率も正常色覚者や色弱模擬フィルタ装着者より多く使われた。なお、色名の選択については色弱模擬フィルタ装着者について有意な差が認められた。
著者
大澤 香奈子 内藤 章江 小町谷 寿子 石原 久代 橋本 令子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>目的</b> 行動と色には結びつきが見られ,色を利用し生活行動を助けることはユニバーサルデザインを考えるうえで有用であると考える.既に捉えた,人が暗黙裡に抱く色の象徴性の共通認識の傾向の中で,左右を象徴する色については20%以上の一致が見られた.本研究では,実際の生活アイテムにあってもそれが認識されるかどうか,行動と色の結びつきを実験的に検証し,色の有効な利用方法を検討する.<br><b>方法</b> 左右の判断を躊躇することがあるアイテムに色を入れた試料を用いて,左右を判断・評価する調査実験を行った.試料には6アイテム,8色(v2,v12,v18,p2,p12,p18,W,Bk)を用いて,計48試料を用意した.被験者は18~21歳の女子学生150名,印刷した試料を1つずつ提示し,7段階で評価してもらった.被験者には併せて試料に用いたアイテムの使用経験を回答させた.<br><b>結果</b> 全てのアイテムにおいて,右との回答がv2の色のついた試料で最も多く,既に行った色票での調査結果と合致する結果であった.トーンについてはビビットトーンに比べ無彩色やペールトーンでは判断があいまい或いは判断に至らない傾向が見られ,色相やトーンが左右の判断に影響していることがうかがわれた.この検証結果から,他の生活行動を助ける色を判断・評価を行う実験へと展開するに要する知見が得られた.