著者
佐野 浩彬 三浦 伸也 前田 佐知子 池田 千春 千葉 洋平 臼田 裕一郎
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.203-207, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
20

災害発生時には様々な機関からインターネットを通じて数多くの災害・防災情報が発信されるとともに、時々刻々とその情報が変化し更新されていく。そのため、発信された災害・防災情報にはWebサイト上での記載がなくなり、情報そのもの自体が消失するなど、タイミングを逃すと取得できないものが出てくる。こうした災害・防災情報のデジタルアーカイブを行うことは、災害の動向を時系列で把握する上で重要である。本研究では2019年に発生した風水害を対象として、インターネット上の災害・防災情報の網羅的収集に関する実践事例を紹介し、そこで浮かび上がった課題を述べる。
著者
三浦 伸也 千葉 洋平 佐野 浩彬 前田 佐知子 池田 千春 田中 亜紀子 高橋 美佐 半田 信之 臼田 裕一郎
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.s1, pp.s23-s26, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
2

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)下では密閉空間・密集場所・密接場面の3つの密を避けることが推奨されている。発表者らは出水期や風水害等に向けて、都道府県や市区町村といった自治体が COVID-19下において、内閣府防災等が提示した通達をどのように活かし、自然災害への備えを行っているかを網羅的かつ俯瞰的に把握するため、日本全国の都道府県および自治体のWebサイトを検索し、COVID-19下における「避難」もしくは「避難所」等に関する情報(以下、「COVID-19×災害時避難に関する情報」)の発信を行っている事例を網羅的に収集した。この情報収集の過程で、ツイッター、ネットニュース、新聞などのメディアが情報収集をどのように促進し、情報を「集める」から情報が「集まる」兆しを感じさせたのか。情報収集、ひいてはアーカイブ構築と本来の目的以外のメディアでの情報発信などをどのように捉え、メディアと協働し、アーカイブを構築していくのが望ましいのかについて議論したい。
著者
臼田 裕 出澤 正徳
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.27, no.23, pp.21-24, 2003-03-20

人間が,情報システムを使用する場合,何を行いたいのかその目的と意図を情報システムに的確に入力・指示する必要がある.一方,情報システムは入力・指示された情報から人間の目的と意図を誤りなく推測し,それに応じた操作,処理を行い,その結果を人間に理解しやすい形態で提示する必要がある.この人間と情報システム間の柔軟かつ円滑なコミュニケーション方法として,今回,情報システムにおける図形コードを用いた紙インターフェイスを提案する.
著者
渡部 展也 臼田 裕一郎 太田 一行
出版者
一般社団法人 地理情報システム学会
雑誌
GIS-理論と応用 (ISSN:13405381)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.99-108, 2004

The purpose of this study is to develop a quantitative site grouping method as a supportive measure for prehistoric settlement researches. One of the basic procedures in settlement archaeological studies is to group individual sites. Grouping scale must be determined in relation to hierarchical level of the social units (e.g. micro level, semi-micro level, macro level). Conventional methods (i.e. Voronoi, Buffer) for site grouping had a difficulty in taking hierarchical structure into account. In this study, hierarchical grouping is attempted by utilizing the scale flexibility of cluster analysis. Spatial extents of the units were also measured through 'time-distance', which simulates the Jomon people's sense of distance. Sites were clustered into groups by suitable threshold values, which were estimated by spatial statistical scores calculated by K-function. Effectiveness of the method was verified by observing its correspondence to the site distribution with specific hierarchical structures. The verification confirmed the developed method to be relevant for quantitative and hierarchical grouping of Jomon-sites.
著者
内山 庄一郎 堀田 弥生 折中 新 半田 信之 田口 仁 鈴木 比奈子 臼田 裕一郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

クライシスレスポンスWebサイトの目指すところは、自然災害発生時における、あらゆる災害情報の自動アーカイブと、これらのオンデマンドな災害情報・災害資料の提供である。しかしながら、技術的にも著作権的にも多数の課題があることは自明である。そこで、現在は多様で広範、かつ動きの早い災害情報のアーカイブに関する実証実験として実施している。具体的には、1)迅速対応の実践として、災害発生後ゼロ日以内に第一報を提供すること。また発災からしばらくの期間、継続的に更新を行うこと、2)情報の整理として、災害発生直後から泡のように現れては消えてゆく災害情報の検索と整理を行い、3)情報の提供として、それら災害情報への簡便な一元的アクセスの提供を目指している。並行して4)これらをドライブするシステム開発を推進している。
著者
佐野 浩彬 田口 仁 花島 誠人 伊勢 正 佐藤 良太 高橋 拓也 池田 真幸 鈴木 比奈子 李 泰榮 臼田 裕一郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<b>報告の背景と目的</b> <br>2016年4月14日21時26分に発生した震度7の地震(Mj6.5)と,4月16日1時35分に発生した地震(Mj7.3)およびそれ以降に続く余震(2016年熊本地震)に対して,防災科学技術研究所(防災科研)では災害対応の一環として,地図情報の作成・集約・共有による情報支援を実施した.防災科研が独自に行っている地震や液状化,降雨,火山,土砂災害などの観測・予測データや,熊本県庁から提供された道路規制情報や避難所情報,通水復旧のインフラ情報などをWeb-GISに統合し,俯瞰的な被害状況を把握できる仕組みを構築した.各種情報が集約された地図は,防災科研が構築した熊本地震のクライシスレスポンスサイト(http://ecom-plat.jp/nied-cr/index.php?gid=10153)において公開したほか,避難所情報などの公開が難しい一部の情報については,熊本地震災害対応にあたる特定機関向け地図を構築して提供した. 本報告では,熊本地震における地図情報の作成・集約・共有における災害対応支援のなかで,熊本県庁をはじめとする各種機関が集約・発信する情報が,どのように地図情報として一つの地理空間情報基盤上に整理されたのかについて報告する. <b><br>熊本地震における地図情報支援</b> <br>4月14日に発生した震度7の地震を受けて,防災科研では地震による被害状況把握ならびに情報集約のためのWeb-GISを構築した.当初は防災科研が観測した震度分布や推定全壊棟数分布のデータをWeb-GISに統合した.また,地震発生翌日の4月15日には,熊本県庁に防災科研研究員が派遣され,熊本県や中央省庁などと連携し,各機関から提供される災害情報を,構築したWeb-GIS上に統合した.直接Web-GIS上に取り込める形で提供された情報には,国土地理院の「被災後空中写真」やITSジャパンの「通れた道マップ」,地震推進本部の「活断層図」などが挙げられる.また,熊本県庁から提供された道路被害情報や避難所情報などはテキスト形式やExcelで整理されたもの,独自の地図で描画されたものなど,Web-GISに直接地図情報として取り込むことができなかったものもあり,それらは住所情報などを頼りにして位置情報を付与することでWeb-GIS上に統合した.各機関から集約・整備したデータは約45種類,データ数として424を数える(6月27日時点).Web-GIS上で集約されたデータは,利用者がニーズに応じて必要な情報を適宜選択して表示することができる.例えば,通水復旧状況のレイヤと避難所情報のレイヤを組み合わせることで,給水支援が必要な避難所を分析できたり,避難所と推定全壊棟数分布,道路規制情報の3レイヤを重ね合わせることで,生活支援が必要な地域と,支援に向かうためにたどり着くための最適ルートを事前に検討することが可能となる. <b><br>地図情報作成・集約・共有における課題</b> <br>被害情報をWeb-GIS上に統合することで、災害対応支援への活用が可能となるが、情報の統合化においては様々な課題が明らかとなった。例えば、避難所情報については国土交通省があらかじめ国土数値情報のなかで整備している避難所情報もあれば、DMATが独自に収集し整理している広域災害救急医療情報システム(EMIS)の避難所情報、また熊本県庁で集約されたものや熊本市で集約されたものなど、災害発生直後に各種機関が独自に情報収集を始めてしまったため、一つの情報として集約することが困難な状態だった。また、避難所情報の統合にあたっては、各機関が整理する情報の避難所名称に差異があったり、本来は指定されていない避難所が開設されているなど、単純な統合化・集約化が難しいという課題があった。こうした各種機関が独自に情報を収集、集約すると、その後の情報統合化が難しくなるため、あらかじめ共有情報の標準化(COP,Common Operational Picture)を検討しておくことが重要となる。今後の課題としては、地図情報の作成・集約・共有における自動化や高度化、災害情報におけるCOP実現に向けた検討が挙げられる。 &nbsp; <br> <b>謝辞:</b>本報告の一部には、総合科学技術・イノベーション会議のSIP(先着的イノベーション創造プログラム)「レジリエントな防災・減災機能の強化」(管理法人:科学技術振興機構)の予算を活用した。
著者
鈴木 比奈子 内山 庄一郎 堀田 弥生 臼田 裕一郎
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.234, 2013 (Released:2013-09-04)

1.背景と目的過去の自然災害の履歴は,その場所における現在の自然災害リスクに大きく関係するため,ハザード・リスク評価に必須の情報である.特に,地域等での防災の現場において,その場所で発生した過去の自然災害を知ることは,地域の脆弱性をより正確に把握し対策を立案していく上で欠かすことができない.一方で,国内の過去の災害事例は膨大であり,それらが記載された文献資料の種類や形態も様々である.そこで,日本国内における過去の自然災害事例を網羅的に収集し,一般にも公開可能な共通の知識データベースを構築することを目的として,全国の地方自治体が発行する地域防災計画に記述されている自然災害事例の抽出とそのデータベース化を開始した.データベースは現在試験段階であるが,将来的には相互運用可能なAPIを通して配信し,外部システムから動的に呼び出して使用可能となる予定である.2.自然災害事例のデータモデリング災害事例をデータベース化するためには,地域防災計画等の出典資料から,発生した災害の記述を読み取り入力する必要がある.しかし地域災害史の項目は説明的な記述が多く,統計データ的な取り扱いをすることが難しい.そのため,次の要件を満たすべくデータモデリングを行った.要件1:情報の取りこぼしを最小限に抑える要件2:できる限り簡易な作業で入力できる要件3:内容をベタ打ちする項目を作らないこの結果,データベースの内容を9つに大分類し,合計112の入力項目を設定した.データ項目を詳細に区分したこと,およびデータ入力の際に,文献に記載がない情報は原則として空欄とするルールを設定したことによって,出典資料の情報の取りこぼしを抑え,入力作業に必要な専門的な判断を最小限にした.また,分類項目のいずれにも格納できない例外的な情報の発生は許容することとし,例外情報を文章としてベタ打ちでデータベースに入力しないこととした.この理由は,入力作業の簡易化とデータベースとしての可用性向上である.また,歴史災害を対象とした自然災害事例の抽出を行うため,現在の災害種別と災害発生当時の災害種別とを対比させる必要がある.災害種別は大分類として5種類に分け,さらに小分類として23の災害種別を設定した.過去の文献における災害の呼称と,小分類の災害種別との対応を各種文献から調査し対応表を作成した.この他,災害名称は地域の自然災害のインパクトを推し量る上で重要な要素と考え,比較的詳細な入力仕様を設定した.3.今後の展開現在,約34,000件の災害事例を試行的に入力した.このペースでは,日本全国でおよそ10万件程度の災害事例が抽出されると推定している.まずは,このデータベースの充実を推進する.次のステップとして,このデータベースから自然災害が社会に与えたインパクト‐災害マグニチュード‐を求める手法を検討する.一定の災害マグニチュード以上の自然災害については調査・解析を行い,データベースの高度化を行いたい.このデータベースによって,地域の災害脆弱性とその影響範囲をより明確に提示し,地域の防災力向上に資するシステムを目指す.
著者
田口 仁 李 泰榮 臼田 裕一郎 長坂 俊成
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1_101-1_115, 2015 (Released:2015-02-25)
参考文献数
34
被引用文献数
4

地理情報システム(GIS)は災害対応の際に有効なツールであるが、災害対応者自らがGIS を活用するために備えるべき要件について検討した研究はこれまで無かった。そこで本研究では、災害対応者が自らGISを利用して効果的に災害対応を行うために、1)地理情報の共有および流通のための標準インタフェース(Web Map Service)を有すること、2)Web-GIS を用いることの2つを満たすGISを提案した。2011年東北地方太平洋沖地震において、災害ボランティアセンターおよび地方自治体に対して、提案した要件を満たしたGIS(eコミマップ)による被災地支援を行った事例を示し、提案した2つの要件の有効性を確認した。