著者
五十嵐 恵 初山 慶道 松本 和浩 塩崎 雄之輔
出版者
弘前大学農学生命科学部
雑誌
弘前大学農学生命科学部学術報告 (ISSN:13448897)
巻号頁・発行日
no.13, pp.7-13, 2011-02

'紅の夢'は弘前大学藤崎農場で育成されたリンゴ新品種である。このリンゴの果実の特徴は濃い暗紅色の果皮と印象的な淡紅色の果肉を持つことである。'紅の夢'は、'紅玉'と'スターキングデリシャス'との交配により作出されたと記録されていたが、DNAマーカー解析によると、'スターキングデリシャス'は交配親ではないことが明らかになった。さらに、SSRおよびSTSマーカーを用いた遺伝子型解析により、'紅の夢'の親品種のうち一方は'紅玉'、もう一方は藤崎農業に植栽されている樹(赤肉親候補A)である可能性を示した。このリンゴ樹は'エターズコールド'とされていたが、SSR遺伝子型を調査したところ大半がオリジナルの遺伝子型とは異なることから、'エターズゴールド'ではないことが明らかになった。PCRベースのS-RNase解析により、'紅の夢'のS遺伝子型は、S3S7と既存品種の'つがる'や'未希ライフ'と同一であることが明らかになった。この結果から、'紅の夢'は日本で栽培されている多くの品種と交雑和合性があると考えられた。
著者
松本 和浩 藤田 知道 佐藤 早希 五十嵐 恵 初山 慶道 塩崎 雄之輔
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.211-217, 2017 (Released:2017-06-30)
参考文献数
20

3倍体で大型の黄色い果皮の品種である‘弘大みさき’を育成した.SSRマーカーを利用した遺伝子型解析の結果,本品種は‘ゴールデンデリシャス’ × ‘デリシャス’系の組み合わせで作出されたものと考えられた.育成地での収穫期は満開後約150日の10月上旬で,リンゴ黄色品種標準カラーチャートで2~3程度の果皮に青味が残る状態が収穫適期であることが明らかになった.果実は450 gを超える大果であり,糖度は12~14°,酸度は0.4%前後の甘酸適和の品種である.有袋栽培を行えば橙赤色の果皮の果実の生産も可能である.贈答用として活用でき着色管理の必要がない省力化品種として普及が期待される.