著者
松本 和浩 李 忠峴 千 種弼 金 泰日 田村 文男 田辺 賢二 黄 龍洙
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.293-297, 2008 (Released:2008-04-25)
参考文献数
10
被引用文献数
4 4

韓国産イチゴ品種‘Mae-hyang’,‘Seol-hyang’および‘Keum-hyang’と‘章姫’を4℃または20℃で4日間貯蔵し,果肉硬度,可溶性固形物濃度,滴定酸度,アントシアニン濃度および糖組成の品種間差異を調査した.各品種の糖組成をみると‘Mae-hyang’および‘Keum-hyang’はスクロースが,‘Seol-hyang’および‘章姫’はフルクトースとグルコースが主体であった.また糖蓄積型ごとに各貯蔵温度における糖組成の変化が異なることが明らかになった.低温貯蔵によりいずれの品種も果肉硬度が上昇したが,特に‘Mae-hyang’において顕著であった.また,‘Mae-hyang’は貯蔵温度にかかわらず酸含量および糖酸比の変化が少なく,20℃貯蔵区における総可溶性糖含量の低下も他品種比べ少なく,安定した貯蔵品質を示した.一方,‘Seol-hyang’は他品種に比べ20℃貯蔵区において酸含量の上昇と糖酸比の低下が起こりやすかった.また,‘Keum-hyang’はいずれの貯蔵区でもアントシアニン濃度が高く,4℃貯蔵区でも糖含量の低下がみられた.これらの結果より,‘Mae-hyang’が他の韓国産新品種に比べ貯蔵中の硬度と品質を保ちやすい長期貯蔵に適した品種であると認められた.
著者
松本 和浩 李 忠〓 千 種弼 金 泰日 田村 文男 田辺 賢二 黄 龍洙
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.293-297, 2008
参考文献数
10
被引用文献数
1

韓国産イチゴ品種'Mae-hyang','Seol-hyang'および'Keum-hyang'と'章姫'を4℃または20℃で4日間貯蔵し,果肉硬度,可溶性固形物濃度,滴定酸度,アントシアニン濃度および糖組成の品種間差異を調査した.各品種の糖組成をみると'Mae-hyang'および'Keum-hyang'はスクロースが,'Seol-hyang'および'章姫'はフルクトースとグルコースが主体であった.また糖蓄積型ごとに各貯蔵温度における糖組成の変化が異なることが明らかになった.低温貯蔵によりいずれの品種も果肉硬度が上昇したが,特に'Mae-hyang'において顕著であった.また,'Mae-hyang'は貯蔵温度にかかわらず酸含量および糖酸比の変化が少なく,20℃貯蔵区における総可溶性糖含量の低下も他品種比べ少なく,安定した貯蔵品質を示した.一方,'Seol-hyang'は他品種に比べ20℃貯蔵区において酸含量の上昇と糖酸比の低下が起こりやすかった.また,'Keum-hyang'はいずれの貯蔵区でもアントシアニン濃度が高く,4℃貯蔵区でも糖含量の低下がみられた.これらの結果より,'Mae-hyang'が他の韓国産所品種に比べ貯蔵中の硬度と品質を保ちやすい長期貯蔵に適した品種であると認められた.
著者
小林 達 澤田 歩 葛西 智 後藤 聡 松本 和浩 工藤 智
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.287-294, 2021 (Released:2021-09-30)
参考文献数
34
被引用文献数
1

近年のリンゴ開花期間における低温傾向に対応するため,10°Cの低温条件でも発芽が可能で,主力品種 ‘ふじ’ に対する人工受粉用花粉として適する品種を選定した.まず,受粉専用品種を含む全26品種を対象とし,10, 15および20°Cの各条件における花粉発芽率を調査した結果,10°Cにおける発芽率は ‘ふじ’ を除くと2か年とも ‘はるか’ が最も高く,‘王林’ が最も低かった.次に,‘はるか’ および ‘王林’ の他,10°Cでの花粉発芽率が高かった品種のうち,広く生産され花粉を獲得しやすい ‘シナノゴールド’ を加えた3品種について,10または20°C条件でそれぞれの花粉を ‘ふじ’ の花に受粉した.その結果,‘はるか’ および ‘シナノゴールド’ の花粉の場合は両条件とも高い結実率を示したのに対し,‘王林’ の花粉の場合,10°C条件では20°C条件に比較して明らかに低かった.また,50花当たりの花粉重量は,これら3品種の中で ‘王林’ が最も少なかった.さらに,3品種のいずれの花粉を受粉しても,‘ふじ’ の果実形質および果実品質に差はないことを確認した.以上より,‘はるか’ および ‘シナノゴールド’ の花粉は低温発芽性を有し,花粉量も多いことから,低温条件下の ‘ふじ’ に対する人工受粉用の花粉として有望であると考えられ,現在一般的に使用されている ‘王林’ よりも優れた特性を有することが明らかとなった.
著者
五十嵐 恵 初山 慶道 松本 和浩 塩崎 雄之輔
出版者
弘前大学農学生命科学部
雑誌
弘前大学農学生命科学部学術報告 (ISSN:13448897)
巻号頁・発行日
no.13, pp.7-13, 2011-02

'紅の夢'は弘前大学藤崎農場で育成されたリンゴ新品種である。このリンゴの果実の特徴は濃い暗紅色の果皮と印象的な淡紅色の果肉を持つことである。'紅の夢'は、'紅玉'と'スターキングデリシャス'との交配により作出されたと記録されていたが、DNAマーカー解析によると、'スターキングデリシャス'は交配親ではないことが明らかになった。さらに、SSRおよびSTSマーカーを用いた遺伝子型解析により、'紅の夢'の親品種のうち一方は'紅玉'、もう一方は藤崎農業に植栽されている樹(赤肉親候補A)である可能性を示した。このリンゴ樹は'エターズコールド'とされていたが、SSR遺伝子型を調査したところ大半がオリジナルの遺伝子型とは異なることから、'エターズゴールド'ではないことが明らかになった。PCRベースのS-RNase解析により、'紅の夢'のS遺伝子型は、S3S7と既存品種の'つがる'や'未希ライフ'と同一であることが明らかになった。この結果から、'紅の夢'は日本で栽培されている多くの品種と交雑和合性があると考えられた。
著者
松本 和浩 加藤 正浩 竹村 圭弘 田辺 賢二 田村 文男
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.339-344, 2010 (Released:2010-07-28)
参考文献数
21
被引用文献数
6 8

秋季の窒素施肥量の違いがニホンナシ‘二十世紀’と‘豊水’の耐寒性と脂質含量に及ぼす影響を調査した.‘豊水’は‘二十世紀’に比べ,多肥による影響を受けやすく,施肥後,樹体内窒素の増加が著しく,耐寒性の上昇が抑制され,春季の生長も阻害された.脂質およびPC含量は‘二十世紀’に比べ‘豊水’で少なかった.両品種とも多肥処理により,脂質およびPC含量の増加が抑制され,脂質の不飽和度の上昇も抑制された.このように,窒素多肥による脂質含量や脂質不飽和度の低下が,耐寒性の低下に影響を及ぼしていると考えられた.
著者
松本 和浩 李 忠けん 千種 ひつ
出版者
園芸学会
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.293-297, 2008 (Released:2011-01-27)

韓国産イチゴ品種‘Mae-hyang’、‘Seol-hyang’および‘Keum-hyang’と‘章姫’を4℃または20℃で4日間貯蔵し、果肉硬度、可溶性固形物濃度、滴定酸度、アントシアニン濃度および糖組成の品種間差異を調査した。各品種の糖組成をみると‘Mae-hyang’および‘Keum-hyang’はスクロースが、‘Seol-hyang’および‘章姫’はフルクトースとグルコースが主体であった。また糖蓄積型ごとに各貯蔵温度における糖組成の変化が異なることが明らかになった。低温貯蔵によりいずれの品種も果肉硬度が上昇したが、特に‘Mae-hyang’において顕著であった。また、‘Mae-hyang’は貯蔵温度にかかわらず酸含量および糖酸比の変化が少なく、20℃貯蔵区における総可溶性糖含量の低下も他品種比べ少なく、安定した貯蔵品質を示した。一方、‘Seol-hyang’は他品種に比べ20℃貯蔵区において酸含量の上昇と糖酸比の低下が起こりやすかった。また、‘Keum-hyang’はいずれの貯蔵区でもアントシアニン濃度が高く、4℃貯蔵区でも糖含量の低下がみられた。これらの結果より、‘Mae-hyang’が他の韓国産新品種に比べ貯蔵中の硬度と品質を保ちやすい長期貯蔵に適した品種であると認められた。
著者
松本 和浩 加藤 正浩 竹村 圭弘 田辺 賢二 田村 文男
出版者
園芸学会
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.339-344, 2010 (Released:2011-05-27)

秋季の窒素施肥量の違いがニホンナシ‘二十世紀’と‘豊水’の耐寒性と脂質含量に及ぼす影響を調査した。‘豊水’は‘二十世紀’に比べ、多肥による影響を受けやすく、施肥後、樹体内窒素の増加が著しく、耐寒性の上昇が抑制され、春季の生長も阻害された。脂質およびPC含量は‘二十世紀’に比べ‘豊水’で少なかった。両品種とも多肥処理により、脂質およびPC含量の増加が抑制され、脂質の不飽和度の上昇も抑制された。このように、窒素多肥による脂質含量や脂質不飽和度の低下が、耐寒性の低下に影響を及ぼしていると考えられた。
著者
松本 和浩 藤田 知道 佐藤 早希 五十嵐 恵 初山 慶道 塩崎 雄之輔
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.211-217, 2017 (Released:2017-06-30)
参考文献数
20

3倍体で大型の黄色い果皮の品種である‘弘大みさき’を育成した.SSRマーカーを利用した遺伝子型解析の結果,本品種は‘ゴールデンデリシャス’ × ‘デリシャス’系の組み合わせで作出されたものと考えられた.育成地での収穫期は満開後約150日の10月上旬で,リンゴ黄色品種標準カラーチャートで2~3程度の果皮に青味が残る状態が収穫適期であることが明らかになった.果実は450 gを超える大果であり,糖度は12~14°,酸度は0.4%前後の甘酸適和の品種である.有袋栽培を行えば橙赤色の果皮の果実の生産も可能である.贈答用として活用でき着色管理の必要がない省力化品種として普及が期待される.