著者
辻谷 将明 左近 賢人
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.15-29, 2005-08-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
34
被引用文献数
2

従来,生存時間解析ではCox比例ハザードモデルが広範に活用されてきた.特に,共変量の値が時間とともに変動する時間依存型データが含まれる場合,その近似解法としてMayo updatedモデルやヨーロッパnew versionモデルが広範に活用されてきた.しかし,それらのモデルには,べースライン生存関数やベースライン累積ハザード関数の推定などに問題点が残されている.本稿では,部分ロジスティック回帰モデルを援用した部分ロジスティックモデルおよびニューラルネットモデルを提案し,ブートストラップ法による統計的推測を系統的に行う.実際例として,PBC(原発性胆汁性肝硬変)データを取上げる.肝移植を念頭においた,観測期間の任意時点における6ヶ月後の条件付き生存率の予後予測を通じ,提案手法を既存手法と数値的に比較する.
著者
別府 真琴 左近 賢人 後藤 満一 疋田 邦彦 平井 健清 村井 紳浩 谷口 積三 吉本 信次郎 青木 栄三郎 上原 教良
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.269-274, 1979-04-01

1897年Dieulafoyは,胃上部の微小な孤立性粘膜欠損の底部において動脈が破裂する大量出血を経験し,Exulceratio simplex(以後Esとよぶ)と命名し報告した.以来欧州圏では,このような胃上部にみられる動脈性出血をEsと呼ぶようになったが,英語圏においてはEsについての報告はほとんどみられず,本邦においてもこのような症例がみられても出血性胃炎あるいは胃潰瘍出血としてとりあつかわれていると思われる.しかしこの病態は手術による止血以外に救命しえなく,保存的療法で止血しうる可能性のある上記2疾患とは臨床上はっきり区別してとりあつかい,適切な処置がなされる必要があると考えられる.著者らはEsと考えられる3例を経験したので報告し,その臨床的意義ならびに問題点について考察を加えた.