著者
前澤 知輝 河原 純一郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PI-010, 2021 (Released:2022-03-30)

ブランド名など,その製品を象徴する情報は,消費者の印象を変化させ,購買行動に影響を与える。例えば,製品ラベルの時間方向(例:新製品)が,製品写真が示す時間方向(未来方向を示す右向き)と一致する場合に,消費者は製品を高く評価する。この時間的一致の効果は,製品広告に限定的ではなく,飲食店広告に対しても一般化できるかもしれない。そこで本研究では,過去情報の表示が,飲食店への消費者態度を向上させるかを検討した。5つの実験で,参加者は創業年が記載された飲食店広告を観察し,その後に品質期待,味への期待,訪問意欲の主観的態度を7件法で測定した。その結果,創業年表示が古い広告(寛政,大正)は,ラベルがない広告や創業年が新しい(令和)広告に比べて,特に品質に対する評価が向上した。また,創業年を縦書き表記で呈示した広告は,横書きで表示する場合よりも品質に対する評価が向上した。したがって,創業年表示の効果は,ラベルの単一呈示だけでなく,過去へ時間的焦点の存在や,縦書き表示による伝統的側面の補強によって消費者態度を高める。品質の良い製品は生存するという,適者生存バイアスが関係していることが考えられる。
著者
前澤 知輝 宮崎 由樹 松長 芳織 若杉 慶 柴田 彰 河原 純一郎
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.29-33, 2020-02-15 (Released:2021-02-18)
参考文献数
7

本研究では,花粉症対策に衛生マスクを持続的に着用する日常生活場面において,鼻の不快感に対するマスクへの着香効果を経時的に測定した.花粉症をもつ40名の被験者が2種の衛生マスク(ミント着香,または統制として無香マスク)をそれぞれ6時間着用し,携帯機器を通じて鼻の不快感について定期的に回答した.実験の結果,着香マスクは無香マスクに比べて装着直後に鼻の不快感の低減が強く生じた.しかし,香りの有無にかかわらず,マスク着用後,30分程度で不快感の低減効果は飽和状態となった.このことは,着香マスクの着用が鼻の不快感を低減させる効果は,着用を始めてから30分までの香りの印象が大きく影響することを示している.