著者
牧野 耕輔 岡 勝 加治佐 剛 寺本 行芳 芝 正己 中島 徹 長濱 孝行
出版者
森林計画学会
雑誌
森林計画学会誌 (ISSN:09172017)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.53-62, 2020

<p>牧野耕輔・岡勝・加治佐剛・寺本行芳・芝正己・中島徹・長濱孝行:<b>鹿児島県大隅地域を対象にしたスギ材の幹曲線式の算定と素材品質の実態分析-鹿児島大学高隈演習林を事例にして-,森林計画誌53:53~62,2020</b> 素材生産現場では,収益性が高くなるよう施業が行われているが,品質等級や素材歩留りを決定する採材は,作業者の経験則に依るところが大きいのが実態である。本研究では,生産現場でリアルタイムに情報を収集し,得られた丸太情報の活用可能性について検討した。プロセッサ造材時に伐倒木の端材長,素材長,梢端部長および各末口の鋸断径の計測結果から幹曲線式を作成することで,伐倒木の形状を解析するとともに,素材歩留りと素材の品質等級を推定した。その結果,スギ材の素材歩留りが大隅地域における既往文献の値と矛盾しないことが判明した。また,形状比を指標に品質等級の出現頻度を分析したところ,BC 材は形状比との相関がみられたが,A 材は相関が無く有意差が認められなかった。</p>
著者
福地 晋輔 吉田 茂二郎 溝上 展也 村上 拓彦 加治佐 剛 太田 徹志 長島 啓子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.303-308, 2011 (Released:2012-03-13)
参考文献数
27
被引用文献数
2 6

宮崎南部森林管理署管内に設定されている系統的配置法によるオビスギ密度試験地 (1972年設定) の測定データをもとに, 植栽密度が単木と林分単位の成長ならびに林木形質に与える影響を明らかにするとともに, 低コスト林業に向けた植栽密度について考察した。試験地は, Nelder (1962) が考案した円状のもので, 1箇所に2反復, 計2プロットがあり, 各プロットはha当たり376∼10,000本の範囲で10段階の植栽密度があり, 各密度区は36本の試験木からなる。解析の結果, 極端な高密度と同低密度では林木形質や目標サイズに達するまでの時間などから, ともに望ましくないことがわかった。利用上, 形質にこだわらない場合であれば, 高密度区ではha当たり蓄積が高いために有利であるが, 1,615本の植栽密度区以上ではほぼ一定であった。一方, 形質を求める場合は, 高密度の植栽では形質が悪く, 逆に低密度では良形質材の林分材積量が低かった。これらから, 植栽密度区6 (範囲は約2,000∼2,800本) の中間的な植栽密度が望ましいことが示唆された。