著者
加藤 京里 菱沼 典子 田上 恭子 加藤木 真史 細野 恵子 田中 美智子 留畑 寿美江 丸山 朱美 酒井 礼子 井垣 通人 塚本 紀子 野月 千春 加藤 祥子 山崎 好美
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.28-37, 2012-08-20 (Released:2016-07-08)
参考文献数
38
被引用文献数
2

本研究の目的は,4週間の排便記録を通して排便パターンの実態を調査し,排便状態の判断基準を検討することである.20歳以上の男女に4週間にわたり排便ごとに便形 (水様便,泥状便,普通便,硬便),排便量 (母指頭大,手拳大以上と,その中間) について排便記録をつけてもらった. 排便記録は便宜的標本抽出にて224名より回収した.データに不備があるものと疾患による影響が考えられる5名の記録はのぞき,男性50名,女性169名の計219名 (平均年齢38±14歳) を分析対象とした.排便パターンはあらかじめ基準をおかず排便状況が似ているもので分類し,排便日数,回数,便形,排便量から帰納的に各基準を抽出して「問題なし (n=147) 」「便秘 (n=51) 」「下痢 (n=13) 」「下痢と便秘 (n=8) 」と命名した.薬剤の服用者27名をのぞいた192名での分析においては,「便秘」の排便日数は平均3.5日/週であり,同時に便形や排便量も考慮して便秘かどうかが判断されていた.「下痢」は日数や量よりも泥状便,水様便があることが基準になると考えられた.性別では女性が,年齢では「20歳代」に便秘の傾向が認められた.
著者
加藤 京里
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.10-18, 2012-01-15 (Released:2016-08-01)
参考文献数
27

本研究は,入院患者に対する後頸部温罨法について,生理学的指標,主観的睡眠および快感情との関連を明らかにすることを目的とした.入院中の女性 (61.8 ± 22.2歳) 6名を対象者とし,連続した3日間,就寝前に 40℃ 10分間の後頸部温罨法を実施した. 後頸部温罨法を実施後,実施前に比較して手掌皮膚温が有意に上昇した (p=0.039)鼓膜温は有意な変化は認められなかった.対象者は後頸部温罨法によって温かさと気持ちよさを感じていた.温罨法施行中の快には,唾液アミラーゼが低下するような休息的快と,唾液アミラーゼが上昇する活動的快が含まれた.夜間の主観的睡眠状況については,研究前と研究3日目の比較において OSA睡眠調査票得点における総得点 (p=0.011),疲労回復得点 (p=0.008) が上昇し,睡眠の改善をみせた. 後頸部温罨法は,唾液アミラーゼの上昇を伴う活動的快と唾液アミラーゼの低下を伴う休息的快が生じ,手掌の皮膚温上昇をもたらし,睡眠を促す可能性があることが示された.
著者
細野 恵子 加藤木 真史 吉良 いずみ 菱沼 典子 田中 美智子 井垣 通人 丸山 朱美 加藤 京里
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.74-80, 2016

本研究は看護師が排便状況を分類・判断する際の基準を明らかにし,臨床で排便状況を分類するためのフローチャートを作成することを目的とした.著者らの先行研究 (加藤ら 2012) で示した排便パターンについて,研究者らは何を指標として分類していたかを振り返り検討したところ,最も優先していたのは便の形状であり,つぎに排便日数,排便量,最後に主観的な感覚または客観的な症状による腹部の張りであった.そこで,先行研究から群別の基準値を設定し,形のない便が2回に1回以上あるか (便形),硬便が4回に1回以上あるか (便形),排便は週に4日以上あるか (排便日数),5回に1回は母指頭大か (排便量),腹部の張り (腹満感) はあるか (主観的・客観的な腹部の張り) という5つの問いから構成されるフローチャートを作成した.フローチャートによって分類される排便パターンは〔良好Ⅰ群〕〔良好Ⅱ群〕〔便秘Ⅰ群〕〔便秘Ⅱ群〕〔便秘Ⅲ群〕〔下痢群〕の6種類になった.
著者
細野 恵子 加藤木 真史 吉良 いずみ 菱沼 典子 田中 美智子 井垣 通人 丸山 朱美 加藤 京里
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.74-80, 2016

本研究は看護師が排便状況を分類・判断する際の基準を明らかにし,臨床で排便状況を分類するためのフローチャートを作成することを目的とした.著者らの先行研究 (加藤ら 2012) で示した排便パターンについて,研究者らは何を指標として分類していたかを振り返り検討したところ,最も優先していたのは便の形状であり,つぎに排便日数,排便量,最後に主観的な感覚または客観的な症状による腹部の張りであった.そこで,先行研究から群別の基準値を設定し,形のない便が2回に1回以上あるか (便形),硬便が4回に1回以上あるか (便形),排便は週に4日以上あるか (排便日数),5回に1回は母指頭大か (排便量),腹部の張り (腹満感) はあるか (主観的・客観的な腹部の張り) という5つの問いから構成されるフローチャートを作成した.フローチャートによって分類される排便パターンは〔良好Ⅰ群〕〔良好Ⅱ群〕〔便秘Ⅰ群〕〔便秘Ⅱ群〕〔便秘Ⅲ群〕〔下痢群〕の6種類になった.
著者
加藤 京里
出版者
東京女子医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

後頸部温罨法のランダム化比較試験では、入院患者60名を対象に実施し「手掌温を上昇させ、夜間睡眠の促進、自覚症状の軽減、気持ちの安定につながり、入院患者がより生活しやすいように心身を整え、回復を促すきっかけとなる」後頸部温罨法の快を説明するモデルを開発した。臨床経験5年以上の病棟看護師に行ったアンケート調査では、温熱を用いた看護技術実施中に「温かくて気持ちいい」患者は「安楽」な状態となり、「休息」と「活力の向上」の両者がもたらされた後に「生活改善」がはかられ、「症状緩和」「気持ちの安定」が生じることがモデルで説明された。
著者
加藤 京里
出版者
東京女子医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

「温罨法」の効果について統合的文献レビューと実験研究によるエビデンスの集積を行った。「温罨法」は気持ちの良い眠気と交感神経の低下を生じさせることが示唆された。この結果をもとに、臨床において入院患者への介入評価研究を行った。就寝前に後頚部温罨法を実施すると、入院患者は気持ちよさを感じた。ストレスが減少することで唾液アミラーゼの値が低下し、末梢の皮膚温は上昇した。さらには後頚部温罨法は夜間の睡眠を促すことが明らかになった。