著者
大崎 絋一 加藤 鴻介
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.437-447, 2003-02-15

今日まで知識工学は, 主に個人の知識や技能としての暗黙知を形式知に変換し機械の知能化にとって非常に効果的な方法を提供してきた.その後, 人間の感覚や行動を付加するエージェントとしての知識モデルが確立されてきており, エージェント間の新たな知識の伝達を可能にしている.最近では, ナレッジマネジメントが, 組織や企業の目的である戦略を実現するために必要な知識を, 組織, 個人の知識(暗黙知, 形式知)を集め, 整理し構成するものであるため, 広く導入され始めている.企業にとってナレッジマネジメントが必要とされる理由は, 直接・間接いずれの実務部門においても社員にいっそうの生産性向上を期待するために, 従来より多くの知識を組織内に提供することが要求されるためである.本論文では, ビジネス上の目的を実現するために, ナレッジマネジメントの基本である暗黙知を形式知に変換し構造化し形式知として表現するための知識構成法について述べる.まず, 「主要知識構成法」では, ビジネス上の目的達成に必要とされる「目的知識」を分解し, 必要と思われる広い範囲の「主要知識」を, 「目的知識」の統括組織により, ビジネス主体との関係, 使用上の規則, そして知識の構成の際に使用する推論機構について明らかにする.次に, 各「主要知識」は, 担当専門組織により「組織知識」として必要な関係, 規則, 推論機構を, 「組織知識構成法」により付加する.さらにはこれらの「組織知識」は, 個人の持つ形式知や暗黙知を提案する「個人知識構成法」により構造化した「個人知識」を使用して構成する.最後に「目的知識構成法」により, 導き出された主要知識, 組織知識, 個人知識から成る一連の知識に対して全体的な観点からの関係, 規則そして推論機構を加えて, 最終的に構造化された「目的知識」を構成する.最近急速に普及してきているインターネット等を活用したeビジネスの一つの実現形として, 「顧客に使い易く, 利便性のあるシステムに改革」することを目的にして, 組織や個人の知識を集め, 整理し, 目的知識を構成する.
著者
外山 ●(口偏に禾)之 加藤 鴻介 福山 倫基
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.58, 2011

ITのカーバ領域がグローバル化した企業の全領域を包み、為替レートの変動が企業活動の底辺からを揺すぶる時代の迅速な意思決定支援システムに対処するには、経営管理の根底から見直し全面的に従来とは異なるベースが必要である。そのためには、複雑さを克服し、マクロ視点とミクロ視点の整合性を備え、参画者が言語の壁を越えて、連鎖する仕組みを共有できる必要がある。筆者等はこのベースとして構造マトリクスを長年追求してきた。さらにもう一点の壁は、事務系と技術系の接点境界となってきた原価システムである。筆者等は、構造マトリクスの上でActivityとUnit Cost をPairで提供する世界を先達の努力を引き継いできたが、今回、Activity、Unit Costと個別Total Costの三者(Triplet Costing)を提供し、その比率、共有比等を提供し、ここを核とする意思決定も可能と考えるに到った。 これらの概要を紹介したい。(注) 構造マトリクスを一言で言えば、産業連関表の各要素をベクトル、あるいはマトリクスとして扱い、複雑な大規模な因果連関を明確に表す手法で、ヨーロッパ、韓国等の財閥企業の意思決定で深く適用されてきた技法で、更なる進化が期待できる。