著者
加門 隆
出版者
Japan Thermosetting Plastics Industry Association
雑誌
熱硬化性樹脂 (ISSN:03884384)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-9, 1989

高融点の粉体であるジアミノマレオニトリル (DAMN), そのN-アルキル誘導体およびその, schiff baseをエポキシ樹脂の潜在性硬化剤として検討した。<BR>これらの硬化剤をエポキシ樹脂に分散すると約2ケ月のポットライフがあり, 150℃以上に加熱すると円滑に硬化して, 良い硬化物が得られた。<BR>DAMNとそのN-アルキル誘導体では, エポキシ基1molに対して1/8molから1/3molまで配合量を変化させた硬化物のガラス転移温度 (Tg) と橋架け密度 (ρ<SUB> (E′) </SUB>) の最大は約1/6molのとき得られ, それぞれの硬化剤のアミン活性水素の数から予想される配合量とは異なるものであった。<BR>DAMNのSchiff baseによる硬化物は予想に反し, Tgが200℃と非常に高く, ρ<SUB> (E′) </SUB> も大きかった。しかし, ρ<SUB> (E′) </SUB> の最大値が得られる配合量は1/5molのときで, Tgの最高は1/4molの配合物で, 特異な結果であった。<BR>以上の結果のように, これらの硬化物の物性は一般のエポキシ樹脂の硬化物とは異なっているため, 硬化物の構造を解明することができなかった。
著者
加門 隆
出版者
合成樹脂工業協会
雑誌
熱硬化性樹脂 (ISSN:03884384)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.94-111, 1985-06-10 (Released:2012-08-20)
参考文献数
61
被引用文献数
1

熱分析にはいろいろな方法があり, 原理, 操作が簡単ではあるが, ガラス転移温度, 融点, 熱膨脹, 反応, 熱分解など多くの情報が得られるので, 高分子材料の分野でも広く用いられているが, 本稿ではこれらのうち示差熱分析 (DTA), 示差走査熱量分析 (DSC) などの熱測定の熱硬化性樹脂の硬化反応への応用についてのみ述べたものである。これらの方法により, 広い温度範囲にわたり, 容易に, 迅速に複雑な熱硬化性樹脂の硬化の過程が得られるだけでなく, 硬化反応の速度論的解析もできることを示した。このことから, これらの方法は熱硬化性樹脂の化学的研究のみでなく, 成形材料, 接着剤, 塗料などの工業材料の品質管理にも用いることができる。
著者
加門 隆 斎藤 和美 三輪 泰彦 佐伯 健作
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.31, no.11, pp.665-668, 1974-11-25 (Released:2010-03-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

動的粘弾性によるガラス転移温度 (Tg) とASTMによる熱変形温度 (HDT) などの耐熱変形温度の関係を求めた。 触媒型硬化剤を除く, 多くのポリアミンおよび酸無水物で硬化したエポキシ樹脂について, 次のような相関関係が得られた.HDT=0.97Tg- (29±3.9) ℃この結果とさきの報告から, 同一硬化剤系では, HDTと橋かけ密度 (ρ) の間には次の関係にあることが分かった.HDT=K log ρ+K′K, K′は定数.
著者
加門 隆 斎藤 和美 三輪 泰彦 佐伯 健作
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.119-123, 1974-02-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
12
被引用文献数
6 3

酸無水物で硬化したエポキシ樹脂の構造と動的粘弾性について検討した。ゴム状態式のフロント係数 (φ) はすべて1より小さく, またジアミン硬化エポキシ樹脂のφより小さかった。同一酸無水物硬化樹脂系でのφは橋かけ密度 (ρ) が小さくなると小さくなっていく。ガラス転移温度 (Tg) は芳香環や脂環などの嵩だかい酸無水物で硬化した樹脂のほうが脂肪族酸無水物より高い。そして, 同一酸無水物系では, Tgとρの間には次式の関係にあることが見いだされた。Tg=K1logK2ρここでK1, K2は定数。K1は嵩だかい脂環族酸無水物系のほうが脂肪族酸無水物系より大きい, そしてK2は両系ともほぼ同じ値であった。