著者
三輪 美樹 鴻池 菜保 勝山 成美 中村 克樹
出版者
一般社団法人 日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
pp.38.018, (Released:2022-10-27)
参考文献数
48

Over the past two decades, a number of biomedical studies have been conducted in Japan using common marmosets (Callithrix jacchus). Common marmosets are highly promising experimental animals because of their high fertility, which is noteworthy among primates. Here, based on our breeding experience at Kyoto University, we have compiled a simplified manual that outlines how to breed and raise robust common marmosets, defined as those achieving over 350g in weight, in a captive environment. The manual covers selection of appropriate breeding individuals, effective pairing methods, perinatal management including birth control, feeding and housing management, and precautionary health status monitoring.
著者
佐藤 宏道 勝山 成美
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.154-160, 1993-12-31 (Released:2009-10-29)
参考文献数
30
被引用文献数
1

サルの大脳皮質一次視覚野(V1)の機能と構造の関連を理解する枠組を概説するとともに,V1が視覚中枢の中でどのように位置付けられるのかを最近の知見を交えて概説した.V1の機能構築を理解するには,網膜部位再現,層分化,ニューロン活動の刺激特異性,機能円柱などについて知ることが重要である.また視覚情報の流れとV1の役割を機能面および構造面から理解するのには,視覚刺激の運動や立体視の情報を運ぶ大細胞系(magnocellular system)と,形態や色などの情報を運ぶ小細胞系(parvocellular system)というV1にいたるまで並列な2つの経路の違いを知ることが助けとなる.両系によってV1に入力された情報は,それぞれの刺激特徴を専門に処理する並列な計算モジュールである機能円柱内で層間の階層的な処理を経た後,高次視覚野に分配出力される.視野の一点の情報を処理している各々のV1ニューロンの活動が,視野全体の再構築のためにどのように統合されているかについては不明の点が多いが,光学的計測法など新技術を導入した研究によってこの問題について新たな発展が期待される.
著者
勝山 成美
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々は床や壁に映った影(キャストシャドウ)によって、物体の位置や動きを知ることができる。しかし、このようなキャストシャドウによる奥行き知覚が脳のどこで、どのように処理されているのかはわかっていない。そのため我々は、機能的MRI実験によってヒトがシャドウから物体が奥行き方向に動いて見える錯視動画を見ている時に活動する脳部位を調べた。その結果、MT野、V3A野、および右の後部頭頂間溝など、後頭葉から頭頂葉に至る視覚野が活動することがわかった。さらに我々は、サルに同じ動画を見せ、サルもヒトと同じようにシャドウから奥行き知覚を得ていることを明らかにした。