著者
勝田 毅 落谷 孝広
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.140-151, 2014-03-25 (Released:2014-06-25)
参考文献数
41
被引用文献数
1

エクソソームと呼ばれる細胞分泌小胞が、細胞間相互作用において重要な役割をもつことが明らかとなり、急速に注目を集めている。エクソソームにはタンパク質、microRNA、mRNAなどの分子が含まれ、由来する細胞と類似の機能が備わっていることがわかってきた。そのため、幅広い疾患に対する細胞治療のソースとして注目されている間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell: MSC)が分泌するエクソソームには、MSCと同様の治療効果が備わっていると期待される。本稿では、最近明らかになってきた、MSC由来のエクソソームが見せるさまざまな疾患に対しての治療効果について最新の知見を紹介する。さらに、MSCのエクソソームを用いた治療戦略と、その実現に向けて解決すべき課題について議論する。
著者
勝田 毅 小森 喜久夫 酒井 康行
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.116-121, 2009 (Released:2009-04-14)
参考文献数
41
被引用文献数
1

組織工学は, 医学・生物学・工学の知見を応用して一度損失するともとに戻らない組織・臓器を生体外で再構築することを目指す学際的な研究分野である.その基本となる方法論は, 鋳型となる足場素材に増殖能・分化能を有する細胞を接着させ, 細胞に分化・増殖を促すシグナルを与えることよって, 細胞から組織を再構築することである.その中でも, 組織再構築能に富んだ各種幹細胞・前駆細胞の分化・増殖制御は決定的ともいえる重要な技術である.本解説では, 例としてES細胞からの肝細胞分化誘導研究を紹介しながら, 「細胞へのシグナル」に焦点を当てて解説する.