著者
北元 憲利 田中 智之 加藤 陽二 辻 啓介
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.86-92, 2000-10-28
参考文献数
13

こんにゃくは、水酸化カルシウム溶液に浸されたアルカリ性を呈する食品であるが、腸管出血性大腸菌O157との関わりを検討した報告はない。そこで、本研究では、こんにゃく液中におけるO157の生存状況と、こんにゃく液の抗菌効果(静菌作用あるいは殺菌作用)について検討した。こんにゃく液はいずれもpH12前後であり、この高いpH域では、O157は反応させるだけで検出限界までに激減することがわかった。初発菌数が多い場合でも1日の反応(保存)でほとんどが死滅した。また、この抗菌作用は大腸菌の株による違いや温度差には影響されなかった。一方、食中毒菌であるサルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌および黄色ブドウ球菌についても同様に比較検討したところ、こんにゃくの液の抗菌効果は、O157と比べると同等かあるいはやや弱いようであった。しかし、これらの食中毒菌もこんにゃく液中では時間とともに減少し、2〜3日後ではほとんどが死滅することが判明した。さらに、市販こんにゃく液中の細菌の存在有無を検討したが、調べた限り、開封直後のこんにゃく液中には菌は検出されなかった。以上の結果から、こんにゃく液は衛生学的に安全性の高いことが証明され、静菌作用(菌の増殖抑制・阻害作用)というよりは、殺菌作用(生菌数の低減化作用)をもつことが明らかとなった。こんにゃくのような高アルカリ性呈示食品は、少数の生菌数の摂取でも発症するような腸管出血性大腸菌O157などの感染症防止に対しても、大きな役割を果たしているものと考えられる。
著者
北元 憲利 田中 智之 加藤 陽二 辻 啓介
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.86-92, 2000-10-28 (Released:2017-12-01)
参考文献数
13

こんにゃくは、水酸化カルシウム溶液に浸されたアルカリ性を呈する食品であるが、腸管出血性大腸菌O157との関わりを検討した報告はない。そこで、本研究では、こんにゃく液中におけるO157の生存状況と、こんにゃく液の抗菌効果(静菌作用あるいは殺菌作用)について検討した。こんにゃく液はいずれもpH12前後であり、この高いpH域では、O157は反応させるだけで検出限界までに激減することがわかった。初発菌数が多い場合でも1日の反応(保存)でほとんどが死滅した。また、この抗菌作用は大腸菌の株による違いや温度差には影響されなかった。一方、食中毒菌であるサルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌および黄色ブドウ球菌についても同様に比較検討したところ、こんにゃくの液の抗菌効果は、O157と比べると同等かあるいはやや弱いようであった。しかし、これらの食中毒菌もこんにゃく液中では時間とともに減少し、2〜3日後ではほとんどが死滅することが判明した。さらに、市販こんにゃく液中の細菌の存在有無を検討したが、調べた限り、開封直後のこんにゃく液中には菌は検出されなかった。以上の結果から、こんにゃく液は衛生学的に安全性の高いことが証明され、静菌作用(菌の増殖抑制・阻害作用)というよりは、殺菌作用(生菌数の低減化作用)をもつことが明らかとなった。こんにゃくのような高アルカリ性呈示食品は、少数の生菌数の摂取でも発症するような腸管出血性大腸菌O157などの感染症防止に対しても、大きな役割を果たしているものと考えられる。
著者
江口 智美 北元 憲利 鈴木 道隆 小河 拓也 吉村 美紀
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.711-717, 2013-12-15 (Released:2014-01-15)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

水挽条件のクリアランス20~60μm程度,回転数40~800rpmの範囲で9種の白玉粉を調製し,白玉粉の粒子の特性および分散糊液の特性を比較検討した.その結果,一般成分と損傷澱粉率にほとんど差がなく,MV 4.8~12.1,スパン1.5~3.5で,粒形態の異なる白玉粉が調製され,経験的に選択された現状の製品調製条件が粘弾性の制御に最適な水挽条件であったことが示唆された.現状の調製条件では,粒子径のばらつきが少なく,澱粉単粒が分散した白玉粉が得られ,その分散糊液は,澱粉濃度の低下に伴い粘弾性が減少する傾向にあったことから,澱粉濃度の調整による粘弾性の制御が容易であることが示唆された.
著者
濵口 郁枝 安達 智子 大喜 多祥子 福本 タミ子 前田 昭子 内田 勇人 北元 憲利 奥田 豊子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.13-24, 2010-01-15 (Released:2013-06-13)
参考文献数
16
被引用文献数
7

A disorder of dietary condition in recent years is concerned with the dietary habit of engorgement.We thus believe that dietary education is necessary for university students. This study examines the consciousness and behavior in the dietary condition, sense of taste, and daily life of university students.The influence of a student's family on this dietary behavior and consciousness is also assessed. An analysis was conducted of the results of a questionnaire survey taken from 229 university students.Structural equation modeling was applied to study the consciousness which influences the dietary behavior, living activities and influence of the family. This analysis shows the influence of the family on the consciousness of dietary condition, sense of taste, and daily activities related to a healthy life style.The results suggest the importance of university students having experience of cooking, promoting consciousness of their dietary behavior, and that the family recognizes its influence.