- 著者
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高田 正史
北條 美能留
上園 保仁
澄川 耕二
- 出版者
- 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
- 雑誌
- 日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.2, pp.160-164, 2008-05-25 (Released:2011-12-01)
- 参考文献数
- 11
- 被引用文献数
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フェンタニル単独で除痛が困難であったがん性腹膜炎による腹痛に対して,少量のモルヒネを追加し,腹痛が著減した2症例を報告する.症例1は15歳の女児で,卵巣癌の腹膜播種による腹痛に対して最初の3カ月間はフェンタニル300μg/日で良好な鎮痛が得られていた.その後,腹痛が増強したので1週間で持続フェンタニルを2,400μg/日まで増量し,フェンタニル100μg/回のレスキューを16回/日使用し,ケタミンを併用したが,腹痛はまったく軽減しなかった.モルヒネ(50 mg/日)の持続静脈内投与を追加した後に,腹痛は著減した.症例2は33歳の女性で,胃癌の腹膜播種による腹痛に対して,フェンタニルの持続投与を2週間で9,600μg/日まで増量し,フェンタニル200μg/回のレスキューを25回/日使用し,ケタミンを併用したが,鎮痛効果不十分であった.モルヒネ(150 mg/日)の持続静脈内投与を追加した後に,腹痛は著減した.2症例では,フェンタニルへの耐性が発現していたと考えられた.