著者
北浦 靖之
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

分岐鎖アミノ酸(BCAA:Leu, Ile, Val)の代謝を促進させることによる走運動持久力、肥満・インスリン抵抗性に対する影響について解析した。まず、新規BCAA代謝促進因子を発見し、そのin vitroでの作用メカニズム、in vivoでの血中BCAA濃度への影響を明らかにした。また、BCAA代謝がビタミンB1により促進され、ビタミンB1の摂取および遺伝的BCAA代謝促進による走運動持久力、肥満・インスリン抵抗性への影響を明らかにした。さらにBCAAに対するmTORC1の反応が、BCAA代謝促進および食餌中タンパク質含量により影響を受けることを明らかにした。
著者
門田 吉弘 北浦 靖之 遠藤 明仁 栃尾 巧
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.123-131, 2020 (Released:2020-08-19)
参考文献数
35

ケストースは, スクロースに1分子のフルクトースが結合した三糖のオリゴ糖である。我々は, プレバイオティクスとして流通している種々のオリゴ糖との比較試験を実施し, ケストースが, 最も幅広い腸内有用菌に対して良好な増殖を示すオリゴ糖であることを明らかにした。さらに, ケストースの継続的な摂取によって, アレルギー疾患や生活習慣病を予防・改善できる可能性も明らかにしており, ケストースが様々な生理機能を有するプレバイオティクスとして, 人々の健康維持に貢献できる可能性を示した。また, 我々は, ケストースの実用化に関する研究として, 工業的製造の際に使用される酵素の改良にも取り組んでいる。本稿では, ケストースによる有用菌増殖効果をはじめとして, ケストースが有する様々な生理機能および, 製造酵素の改良に向けた取り組みについて紹介する。
著者
下村 吉治 北浦 靖之
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

健康の維持増進に栄養と運動による代謝調節の必要性は極めて高く、それらに関する正確な科学的情報とメカニズムの解明が求められている。本研究では、分岐鎖アミノ酸(BCAA)投与と運動が健康の維持増進に及ぼす効果のメカニズムを明らかにするために、(1)BCAA代謝調節機構の解明、(2)廃用性筋萎縮に対するBCAA投与効果の解明、および(3)グルコース代謝に対するBCAA機能の解明を目的とした。得られた研究成果として、BCAA代謝調節因子として分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素キナーゼの未知の調節因子がラット肝臓ミトコンドリアに存在する可能性が示唆された。廃用性筋萎縮に対するBCAA投与の効果として、5%BCAA食摂取は、廃用性筋萎縮による筋重量の低下およびユビキチン-プロテアソーム系成分量に対して影響しなかったが、それらに対抗する細胞内シグナル成分の減少を抑制することが示唆された。さらに、グルコース代謝に対するBCAAの機能として、耐糖能を正常に維持するためには血中のBCAA濃度が重要な役割を果たすことが示唆された。