著者
北澤 恒人
出版者
大東文化大学
雑誌
大東文化大学紀要. 人文科学 (ISSN:03861082)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.A167-A177, 2008-03

シェリングはフィヒテとの往復書簡の中で、有限者の視点に立つフィヒテの初期知識学の構想が1800年以後、個体と絶対者とを総合しようとするものへ転換してゆくことを取りあげ、この企てが主観性の立場にとどまるために挫折せざるをえないと主張する。シェリングがこのような判断を下したのは、彼がすでにその『超越論的観念論の体系』の中で、自由から出発する実践哲学の最高の立場が歴史における自由と必然性との相克にとどまるということを考察していたからである。シェリングは『体系』においてこの実践哲学の矛盾の解決として美的直観を導入し、フィヒテの課題に対する解決可能性を示すものとして芸術作品を位置づけた。

1 0 0 0 OA 自然の倫理

著者
北澤 恒人
出版者
日本シェリング協会
雑誌
シェリング年報 (ISSN:09194622)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.51, 2015 (Released:2020-03-26)

In ethics, naturalism has been under suspicion. Factual judgments and evaluative judgments would be fundamentally different. Moral judgments are, however, based on sentiments, especially on sympathy and empathy, and therefore on our nature. Since Darwin, the general features of human inclinations, attitudes, and cognitive capacities can be viewed as the products of natural selection. Altruistic behavior in the animal world is explained through kin selection and reciprocity. Human moral behavior is biologically founded on such reciprocal altruism, which, however, tends to cause free-riders. Abilities to detect and discriminate against cheaters were developed and functioning as social selection would have established morality in humans.
著者
川村 千鶴子 中本 博皓 石橋 春男 山口 由二 北澤 恒人 福島 斉 貫 隆生 冨田 祐一 川村 千鶴子
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1.現地環境調査の実施:グローバル化の影響によって大量消費社会となった太平洋島嶼諸国がどのような環境問題を抱えているのか、その実態を多面的に調査し、課題と問題解決への道を研究した。特に医療面と健康の被害、伝統文化の破壊と消滅、自動車の普及と廃車問題、廃棄物と廃車処理問題、環境教育の進展に主眼をおいた。それらの結果をまとめた調査報告書はすべて学会誌『環境創造』4,5,6,7,8号に収められている。2.調査対象国:トンガ王国、サモア、ツバル、マーシャル諸島共和国、パラオ共和国、キリバス、ミクロネシア連邦、フィジー共和国、その他移民先の国々。日本国内では離島の廃車事情、自動車リサイクル工場を見学3.海外での研究発表:第9回太平洋芸術祭シンポジウム基調講演(2004年7月24日パラオ共和国)川村千鶴子 テーマ"Environmental Issues through a Global-Ethnoscape Point of View"4.ネットワークの構築:これらの調査国において環境問題に関わる研究者・実践者・行政・企業・国際機関などの人々との連携を深めることができ、そのネットワークをもとに国際シンポジウムを開催し広く実態を報告した。シンポジウム・パシフィックウエイ開催(3年間の研究結果を発表、英語・日本語通訳・翻訳)テーマ「太平洋島嶼諸国の連帯と環境問題への取り組み -廃棄物・廃車問題への日本の貢献-」日時:2005年2月14日 場所:大東文化大学板橋校舎、後援:日本島嶼学会、太平洋学会、日本オセアニア学会、太平洋諸島センター、(社)太平洋諸島地域研究所、NPO法人 汎太平洋上級教育推進機構基調講演:天野史郎(SPREP 南太平洋地域環境計画)、講演:カシオ・ミダ特命全権大使(ミクロネシア連邦共和国)、シンポジウム・パネリスト:川嶋正和(ミクロネシア振興協会事務局長)、竹内啓介(全日本自動車リサイクル事業連盟副理事長)、長嶋俊介(鹿児島大学多島圏研究センター教授)、石橋春男(環境創造学部学部長)、川村千鶴子(研究代表)5.さらに座談会の開催し、自動車リサイクルの専門家との連携からいくつかの解決策を提案:3月10日(司会:川村千鶴子)J・フリッツ公使(ミクロネシア連邦大使館)、竹内啓介、川嶋正和、貫隆夫、貫真英6.以上の研究論文と調査報告書、シンポジウム、座談会を編集し、研究成果報告書にまとめ製本した。国内の関係者はもとより海外の関係者にも配布。2006年に予定されている太平洋島サミットの基礎資料としても役立にたち、多数のNPO法人の実践者、マスコミ関係者、他大学との連携も深めることができた。