著者
山本 拓都 北澤 茂
雑誌
第43回日本神経科学大会
巻号頁・発行日
2020-06-15

Perceived colors of objects remain constant under a variety of illuminations. This ability of color constancy has been modeled by using deep convolutional networks that were extensively trained to estimate reflectance of objects. However, it is not likely that our brain acquires color constancy through such rigorous procedures. We here show that color constancy emerges in a simple deep convolutional autoencoder when it involves batch normalization layers. We found that batch normalization is a simple but effective method to cancel any global bias in illumination and achieve color constancy. However, it may still be argued that batch normalization layers are not physiological by itself. We thus proposed a biologically plausible replacement for batch normalization that consists of two tandem inhibitory layers, one with subtractive and another with divisional inhibitory neurons. The model is biologically plausible because there are two groups of inhibitory interneurons in the cerebral cortex, one that performs subtractive inhibition (e.g., somatostatin-expressing interneurons) and another that performs divisional inhibition (e.g., parvalbumin-expressing interneurons). Further, both types of inhibition can be achieved by adjusting parameters of an extended Hodgkin-Huxley neuron. By using the network with biologically plausible Hodgkin-Huxley neurons, we were able to achieve color constancy. We suggest that color constancy emerges as a simple consequence of normalization achieved by the two groups of inhibitory interneurons.
著者
北澤 茂
出版者
工業技術院
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2000

脳には水晶クロックがありません。しかも信号は多数のループを巡るので、複数の信号の間の時間順序は簡単に失われてしまいます。脳はどこで、どうやって信号の時間順序を表現、保存、再生しているのでしょうか?本研究は、信号と信号の差分に基づく「動き」を表現する領域と、信号そのものを表現する領域が協調して、信号の時間順序を再構成する、という「動き投影仮説」を手がかりとして問題解明に挑みます。
著者
北澤 茂良 桐山 伸也 松本 祐二
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

人工内耳装用者(CIR)のための音楽聴取支援装置として個人ごとの移調と速度調整の特性を学習獲得できる「懐名歌」を開発し、CIRの内観報告を多数得た。これを生かして人工内耳の音響シミュレーションを開発し、人工内耳音階の効果を確認し、音楽聴取できる人工内耳の可能性を検討した。 CIRが楽しめる音楽を提供するために、知名度、年代、主旋律の音程、リズム、などを考慮して15曲を選択し、音楽訓練を受けた女声・男声・口笛が演奏した。曲楽は、刺激電極数が最大化されるように移調を行った。
著者
竹林 洋一 石川 翔吾 桐山 伸也 堀内 裕晃 北澤 茂良
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

1.認知症ケア技法ユマニチュードに着目し,BPSDに対するケア行為に意味付けし,意図感情知識表現モデルを設計した.本モデルによって,ケア行為と認知症の人との関係を評価できることを示した.2.WebベースのBPSDビューアを活用し,ケースカンファレンスを専門家と継続的に実施した.実践したアプローチによって知識や分析結果を蓄積し,継続的に評価,修正できることが示された.3.コーパス構造を活用し,ケア支援知識コンテンツとして,認知症の見立てに関する知識コンテンツ,及び認知症ケアスキルに関する知識コンテンツを開発し,認知症ケアの改善に有効であることが示された.
著者
北澤 茂
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.26-33, 2004-03-31

手を伸ばして物をつかむという到達運動は運動全体での力の変化が小さく滑らかなるようにほぼ最適化されている.小脳が障害されると,運動の滑らかさは失われるので運動の最適化に小脳が重要な役割を果たしていることは確かであるが,具体的なメカニズムは手つかずの問題として残されてきた.最近の理論的研究で,運動制御信号に内在するノイズの影響を考慮に入れると,運動終点の誤差分散を小さくすることによって運動の滑らかさが得られることが示された.一方,運動学習の教師と言われてきた小脳の登上線維信号が確かに運動終点の誤差を表現していることも定量的に示された.それらの成果を踏まえてわれわれは,登上線維が伝える終点誤差の情報が,ランダムウォークに似た過程によって終点の誤差分散を減少させ滑らかな制御を実現するという仮説を提案し,ランダムウォーク仮説と名づけた.「滑らかさの原理」を取り入れた「人工小脳」を作ってランダムウォーク仮説を検証するとともに,臨床応用の方向を探りたい.