- 著者
-
長谷川 千洋
清水 寛之
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第12回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.141, 2014 (Released:2014-10-05)
人名想起時に生じる「のどまで出かかっているのに出てこない現象(tip-of-the-tongue phenomenon)」(TOT)は,日常的に観察される現象である。本研究は大学生を対象に日本の有名人に対するTOTの特徴について調査し,TOT解消方略との関係について検討した。調査参加に同意した大学生549名に対し30人の有名人物(歴史上の有名人物15名,現在の有名人物15名)の氏名の想起を求める質問紙調査を実施し,視覚イメージ,既知感,文字情報,音韻情報の有無について回答を求め,また,個人の特性傾向として,TOT現象に対する感受性や不快感の程度,TOTの解消方略についても調べた。結果,人名に対するTOT現象は、歴史上,現在の有名人物ともに同様に生起しており,人名の想起されやすさと視覚的イメージの鮮明さ及び音韻・文字情報との関連性に比べ、TOT現象の発生率は比較的一定に保たれている可能性が示唆された。また,TOTが増えれば,能動的なTOT解消方略を用いる傾向が高くなる可能性が考えられた。