著者
升本 順夫
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.15-26, 2000-01-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
32
被引用文献数
1

西太平洋及びインド洋の熱帯域における海洋循環とその変動について,海洋大循環モデルを用いて行った著者の最近の研究を簡単に紹介する。特に西太平洋熱帯域に発達するミンダナオ・ドームの季節変動,インドネシア通過流に見られる年周期と半年周期変動,および南部熱帯インド洋の年周期強制ロスビー波を取り上げ,それらの発生機構を明らかにする。
著者
日比谷 紀之 木田 新一郎 升本 順夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

インドネシア通過流(ITF)は、インドネシア多島海の海面水温や水塊の性質を大きく変化させることで、海盆規模の気候変動をコントロールすると考えられている。本研究では、高解像度数値実験を実施し、同海域における潮汐混合の定量化を行うとともに、そのITFへの影響を議論した。数値実験の妥当性は、既存の乱流観測との比較・検討を通じて検証した。数値実験の結果、ITFの東流路において海面水温や水塊の性質が著しく変化すること、さらにそれらの変化が多島海内の狭い海峡内で励起された内部潮汐波の砕波に伴う鉛直混合や、直径数キロメートルのサブメソスケール渦に伴う水平混合に起因するものであることなどが明らかとなった。
著者
山形 俊男 東塚 知己 升本 順夫 茅根 創
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

観測データ、モデル結果、サンゴ年輪解析の結果より、西インド洋の温暖化によって10年周期だったダイポールモード現象が2年前後に短周期化し、エルニーニョ/南方振動現象に代わってインド洋の気候を支配していることがわかった。また、大西洋南北ダイポールと亜熱帯ダイポールについては、新しいメカニズムを提唱することに成功した。さらに、インド洋熱帯域のセーシェルドームとその直上の海面水温の変動メカニズムを明らかにした。