5 0 0 0 OA 研究ニュース

著者
茅根 創 池田 安隆 川島 隆幸 狩野 直和 尾中 敬
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.6-8, 2007-05

2004年スマトラ島沖地震で干上がったサンゴ礁/史上最高の蛍光量子収率を示すアゾベンゼンの合成/「あかり」が見た星生成領域、終末期の星、超新星残骸、活動銀河核、遠方銀河
著者
松本 淳 多田 隆治 茅根 創 春山 成子 小口 高 横山 祐典 阿部 彩子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本研究では,アジアモンスーン地域における過去の気候資料と,日本のさまざまな緯度帯から取得される地質試料(サンゴ年輪やボーリングコア等)の解析によって,過去数10年〜数千年の時間スケールでアジアモンスーン域の降水量変動および各流域洪水の洪水史をまとめ,モンスーンにともなう降水量変動と洪水の歴史の関係を長期的に復元し,地表環境の変化との関係を考察することを目的として研究を行なった。千年規模での変動として,日本海南部隠岐堆の海底コア三重県雲出川流域のボーリングコアを解析した。後氷期には約1700,4200,6200年前に揚子江流域で夏季モンスーン性降雨が強まり,雲出川流域において約6000年前には堆積速度が大変に速く,この時代には広域的に洪水が頻発していた可能性が判明した。また,琉球列島南端の石垣島で採集されたサンゴ年輪コアの酸素同位体比と蛍光強度の分析によって,過去の塩分変動を定量的に復元できることがわかった。20世紀後半の変動としては,近年洪水が頻発するバングラデシュにおいて,GISとリモートセンシングデータによってブラマプトラ川の河道変遷と洪水との関係を検討し,河道が約10年周期で河川の平衡状態への接近と乖離とを繰り返したことがわかった。また大洪水が雨季には稲作に大きな被害をもたらすものの,引き続く乾季には大幅な収量増加がみられることを見出した。流入河川上流域のネパールでの降水特性を検討し,ネパールで豪雨が頻発した年とバングラデシュにおける洪水年とが対応していないことがわかった。さらに日本においては,冬の終了や梅雨入り・梅雨明けが近年遅くなっていることを明らかにした。気候変動研究に多用されているNCEP/NCARの長期再解析データには,中国大陸上で観測記録と一致しない変動がみられることを見出し,アジアモンスーンの長期変動解析にこのデータを使用するのは不適切であることを示した。
著者
茅根 創 山本 将史 朝海 敏昭
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.301-308, 2021
被引用文献数
1

<p>地球温暖化の将来と抑制策の鍵となる,海洋の炭酸系の計測可能な四つのパラメーターpH, <i>p</i>CO<sub>2</sub>, 全炭酸,全アルカリ度の計測技術の現状をまとめた.採水試料を実験室でバッチ計測する技術を,センサーによる現場観測,さらに自律したブイやフロートで自動計測する技術に改良して,点と線の観測から立体・経時観測することが求められる.実用的な計測における最良の精確さは,pH, <i>p</i>CO<sub>2</sub>, 全炭酸,全アルカリ度それぞれ,0.002 pH, 2〜5 μatm, 2〜4 μmol kg<sup>−1</sup>, 2〜3 μmol kg<sup>−1</sup>である.自動計測が実用化されているのはpHと<i>p</i>CO<sub>2</sub>だが,どちらも炭酸系の極微量成分で,同期して変化するため,これら二つから全炭酸と全アルカリ度を計算すると,それらの計算値の不確かさは,実測値の不確かさより大きくなる.精確に炭酸系を決定することができるpHと全アルカリ度の自動計測システムの開発が期待される.どのパラメーターも,試料試薬を添加したり,気体透過膜でCO<sub>2</sub>を液相に抽出したのちに,液相のpHを計測することによって求めることができるので,高圧の深海の海水でも安定的なpH計測技術の開発が鍵である.</p>
著者
川幡 穂高 氏家 宏 江口 暢久 西村 昭 田中 裕一郎 池原 研 山崎 俊嗣 井岡 昇 茅根 創
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.19-29, 1994-02-28 (Released:2009-08-21)
参考文献数
31
被引用文献数
4 4

海洋における炭素循環の変動を調べるために, 西太平洋に位置する西カロリン海盆の海底深度4,409mから堆積物コアを採取して, 過去30万年にわたり平均1,000年の間隔で無機炭素 (炭酸カルシウム) と有機炭素の堆積物への沈積流量を詳細に分析した. その結果, 炭素カルシウムの沈積流量は過去32万年にわたって大きく変動し, 極小値が約10万年の周期をもっていることが明らかとなった. また, 有機炭素の沈積流量は, 主に氷期に増大したが, これは基礎生物生産が高くなったためであると考えた. 無機炭素と有機炭素の形成・分解は, 海洋と大気間の二酸化炭素のやりとりに関しては, 逆の働きをしている. そこで, 堆積粒子に含まれる両炭素の沈積流量の差を用いて, 大気中の二酸化炭素の変動と比較した. その結果, 約5万年前の炭酸カルシウムの沈積流量が非常に増加した時期を除いて, 大気中の二酸化炭素濃度の変動と堆積粒子中の有機・無機炭素沈積流量の変動は第一義的に一致しており, 大気中の二酸化炭素の変動と海底堆積物とが何らかの関連をもっていたことが示唆された.
著者
鈴木 拓也 茅根 創 岩塚 雄大 片山 裕之 関本 恒浩 磯部 雅彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_838-I_843, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
9
被引用文献数
4

サンゴ礁州島は,サンゴ礁上にサンゴ礫で形成された標高1~2m程度の低平な島であり,静水面よりわずかに高い位置に形成される.その地形変化については,短期間の高波浪により形成・消失された報告はあるものの,観測データ取得が困難でありそのメカニズムについては未解明な部分も多い.本研究では,西表島北方リーフ上にサンゴ礫だけで形成されるバラス島を対象として現地調査および水理実験を行い,その地形変化メカニズムについて検討を行った.その結果,以下の結論を得た.1)台風時の強い外力により堆積・侵食・移動の地形変化を繰返す.島の移動方向は流れを主体とした外力の卓越方向と定性的に一致する.2)枝サンゴを中心としたサンゴ礫は,底面流速として概ね0.7m/sが移動限界流速と考えられる.
著者
岩塚 雄大 琴浦 毅 片山 裕之 竹森 涼 田島 芳満 茅根 創
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_455-I_460, 2015 (Released:2015-09-04)
参考文献数
9
被引用文献数
1

サンゴ礁州島の形成機構は様々な報告,研究が行われているものの観測データの取得事例は少なく,州島形成場の波浪場,海浜流場は依然未解明である.本研究では,西表島北方リーフ上にサンゴ礫だけで形成されるバラス島を対象として現地調査を行い州島形成場の外力評価を行った.さらにそれを補完する数値計算を行い州島形成に至る外力場の検討した.その結果,バラス島周辺のリーフ上では,来襲波浪に時空間的な位相差が見られることやサンゴ礫移動外力としてはリーフ内の流れよりも波浪が卓越する可能性が高いこと,バラス島付近では鳩間島の遮蔽とバラス島北側の二つの窪地の屈折効果によりバラス島に向かうNE,NW双方向からの波浪が生じ,窪地背後のリーフ中央部ではサンゴ礫が集積されるポテンシャルが高いことが明らかとなった.

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著者
那須 信 半田 利弘 横山 広美 初田 哲男 茅根 創 早野 龍五 邑田 仁 小林 修 石川 裕
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.4-8, 2010-01

生命科学系GCOEのリトリート開催される/第16回東京大学理学部公開講演会,開催される/保護者がポイント!女子中高生への進学アピール/「私が理学を選んだ理由」ガイダンス・カフェ@駒場/平野哲文講師が第24回西宮湯川記念賞受賞/海洋調査探検部硫黄鳥島遠征隊が総長賞受賞/文化功労者として顕彰 物理学専攻 山崎敏光名誉教授/岩槻邦男名誉教授が瑞宝重光章を受章/中村栄一教授,紫綬褒章を受章/米澤明憲教授,紫綬褒章を受章

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著者
坪野 公夫 西原 寛 大塚 孝治 赤坂 甲治 音野 瑛俊 半田 利弘 平賀 勇吉 茅根 創 横山 広美 邑田 仁
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.3-7, 2009-01

霜田光一名誉教授が文化功労者として顕彰される/小林昭子名誉教授のロレアル-ユネスコ女性科学賞受賞/理学系研究科より3名が仁科記念賞を受賞/臨海実験所とミキモトの共催シンポジウムが開かれる/学生企画コンテストで理学系有志グループが優秀賞/第14回東京大学理学部公開講演会,開催される/本郷けやき保育園のハロウィンパレードに理学部が協力/進学相談の場を提供,"理学部サイエンスカフェ@駒場"/"東大理学部で考える女子高校生の未来"を開催/新見市より植物園にアテツマンサクが寄贈される
著者
鹿島 薫 那須 裕郎 奥村 晃史 本郷 一美 高村 弘毅 吉村 和久 小口 高 西秋 良宏 茅根 創 三宅 裕
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、これまで研究の遅れてきた中東および中央アジアにおける平野、盆地、湿地、湖沼などの陸地域における現地調査を行った。これらの地域では多数の遺跡が立地しており、それらを手がかりとして、最新の分析探査手法を用いながら、環境変動の実態を明らかとすることができた。そして地球環境が短期(10~100 年オーダー)で急激に変化してきたという事実とそれが遺跡立地に与えた影響を検証し、それらの結果から今後の地球環境の変動予測への応用を行った。
著者
山形 俊男 東塚 知己 升本 順夫 茅根 創
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

観測データ、モデル結果、サンゴ年輪解析の結果より、西インド洋の温暖化によって10年周期だったダイポールモード現象が2年前後に短周期化し、エルニーニョ/南方振動現象に代わってインド洋の気候を支配していることがわかった。また、大西洋南北ダイポールと亜熱帯ダイポールについては、新しいメカニズムを提唱することに成功した。さらに、インド洋熱帯域のセーシェルドームとその直上の海面水温の変動メカニズムを明らかにした。
著者
茅根 創 吉川 虎雄
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.18-36, 1986-01-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
39
被引用文献数
17

海成段丘の形成過程を考察したり,それらを利用して地殻変動や海水準変動を論ずる場合には,現成の海岸地形に関する知見にもとついて,海成段丘を構成する諸地形要素の成因や意義などを明確にしておくことが重要である.このような視点から筆者らは,房総半島南東岸において,現成ならびに完新世に離水した浸食海岸地形の比較研究を行なつた. その結果,まず, (1) 現成の浸食海岸地形はベンチー小崖-海食台という-連の地形からなる地形系であり, (2) 汀線高度はベンチによって示されることを明らかにした。次に,房総半島南端に近い千倉町南部において,4群の離水したベンチ群一小崖一海食台系を認定し, (3) これまで汀線アングルと考えられていた小崖基部の傾斜変換線は,必ずしも旧汀線に対応しないこと, (4) これらの離水したベンチ群一小崖一海食台系は,4回の海食台まであらわれる3~6mの隆起と,それらの間に2~3回ずつはさまれたベンチだけが離水した1~2mの隆起との累積によつて形成されたことを明らかにした.
著者
茅根 創 山野 博哉 酒井 一彦 山口 徹 日高 道雄 鈴木 款 灘岡 和夫 西平 守孝 小池 勲夫
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008-11-13

サンゴ礁学の目的は,生物,化学,地学,工学,人文の諸分野を,複合ストレスに対するサンゴ礁の応答という問題設定のもとに融合し,サンゴ礁と人との新たな共存・共生を構築するための科学的基礎を築くことである.本領域では,ストレス要因の時空変化を評価して,遺伝子スケールから生態系スケールまで整合的なストレス応答モデルを構築し,サンゴ礁と共生する地域のあり方を提案した.本課題は,こうして産まれた新しい学問領域を確立し,他分野へ展開するとともに,地域社会への適用と人材育成を継続的に行うために,以下の活動を行った.新しい学問領域の確立:平成25年9月29日―10月2日に,海外から研究者を招へいして,「サンゴ礁と酸性化」に関する国際ワークショップ(東京大学伊藤国際学術センター)を開催し,今後の展開について議論した.12月14日日本サンゴ礁学会第16回大会(沖縄科学技術大学院大学)では,「サンゴ礁学の成果と展望」というタイトルで,総括と次のフェイズへ向けての戦略を示した.また,”Coral Reef Science” の原稿を,各班ごとに作成して,現在編集作業を進めている.他分野への展開:12月15日,日本サンゴ礁学会第16回大会において,公開シンポジウム「熱帯・亜熱帯沿岸域生物の多様性へのアプローチと課題」を,日本サンゴ礁学会主催,日本ベントス学会,日本熱帯生態学会共催によって開催して,サンゴ礁学の成果を,関係する生態系へ展開する道を議論した.地域社会への適用:これまでに19回石垣市で開催した地元説明会・成果報告会のまとめの会を,2013年8月に実施して,プロジェクト終了後の地元と研究者の連携のあり方,研究成果の還元の継続を話し合った.人材育成:サンゴ礁学の取り組みのひとつとして,これまで4回実施したサンゴ礁学サマースクールを,東京大学と琉球大学共同の,正規の実習科目として定着させることに成功した.
著者
灘岡 和夫 鹿熊 信一郎 中谷 誠治 茅根 創 宮澤 泰正 波利井 佐紀 秋道 智彌
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

1)新たな人工衛星リモートセンシング画像解析法に基づいて統合沿岸環境モニタリングシステムを一般化・汎用化するとともに,フィリピン,フィジー,サモア,沖縄における沿岸環境モニタリングを行った.そして,画像データのそろっている沖縄・石西礁湖及びその周辺陸域を対象とした過去約20年間の衛星画像(LANDSAT-TM)の解析を通して,石西礁湖内のサンゴ礁生態環境(特に海底被覆状態)の変遷と,それに対応した周辺陸域における土地利用や植生被覆状態の変遷を明らかにした.さらに,この陸域情報に基づいて,各流域からの赤土流入負荷の変遷を定量的に評価し,その結果を上記の沿岸生態環境の変遷に関する解析結果を照らし合わせることにより,周辺流域圏の土地利用形態等のあり方から見た沿岸-陸域統合型の資源管理策について検討した.2)流域からの環境負荷の定量的評価に基づいた陸域-沿岸統合型資源管理フレームの展開のために,フィジー,サモア,フィリピンにおいて,赤土流入量負荷や沿岸水質の長期モニタリング体制を構築し,従来にない長期連続データを得た.3)観光開発による生活雑排水流入などによって水質悪化と沿岸生態系劣化が著しいフィリピン・ミンドロ島北端に位置するプエルトガレラ沿岸域を対象として,同水域における物理・水質・生物環境調査や地元コミュニティーについての社会的調査を地元自治体,NGO,フィリピン大学等との共同で実施し,関連する数値シミュレーション等も併せて行うことにより,同水域における物理・水質・生物環境の特徴や水質劣化構造の実態を明らかにするとともに,「人間-沿岸生態」共存系の観点から,有効かつ持続的な環境保全策の立案にむけての検討を行った.4)サンゴ食害生物であるオニヒトデを対象として,有効な遺伝子マーカーを開発することによって集団遺伝学的な解析を行うとともに,広域的な海水流動・幼生輸送計算モデルによって幼生の広域輸送パターンを解析することによって,広域的な沿岸生態系の相互依存ネットワークの内容を調べた.この成果は重点的海洋保護区の設定に関して合理的・科学的な根拠を与えるための基礎情報となる.