著者
毛利 資郎 半田 純雄 和田 俊雄 時吉 幸男
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.543-545, 1982-06-25 (Released:2008-02-13)
参考文献数
10
被引用文献数
4 4

福岡市, 長崎県, 熊本県の野犬抑留所由来イヌから, 1978年3月から1979年3月までの間に集められた血清796検体について, イヌパルボウイルスに対する HI 抗体調査を行った. その結果1878年6月以前のものはすべて陰性であったが, 1978年7月以降陽性例が認められ, 日本においても1978年7月には, すでにイヌパルボウイルスの浸潤が始まっていたことが示唆された.
著者
半田 純雄 北本 哲之 毛利 資郎 立石 潤
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

1.昨年度の研究実績の概要で,それまでのラジオアイソトープを用いたドットハイブリダイゼーションから安全迅速な制限酵素の切断長による方法を開発し,マウスのプリオン蛋白遺伝子変異の診断技術が向上したこと,同時に,個体について診断に基づき実施した戻し交配が6世代まで進んだ後,繁殖が困難になったので4世代まで元に戻って行なったことを報告した。ところが,うまく繁殖できたものの,その中にPrn-P^aとPrn-P^bとのヘテロが生まれず,次の世代につなぐことができなかった。したがって,F1世代から交配をやり直しており,もう少し時間がかかりそうである。2.その代わり,プリオン接種後の潜伏期間,病理などの感受性がプリオン蛋白遺伝子変異以外の要素で変わることをSCIDマウスで発見した。そして,それがコンジェニックマウスと同様にプリオン病のモデル動物として重要であることがわかったのでその概要を報告する。(1)SCIDマウスではクロイッツフェルトヤコブ病病原体を脳内接種後,プリオン蛋白遺伝子型がPrn-P^aのマウスと同様に150日程度の潜伏期間で発症するが,脳内接種では600日経っても発症しなかった。(2)この原因として,SCIDマウスでは,脾臓やリンパ節の濾胞樹伏細胞に異常プリオン蛋白が沈着しないという特異的な反応があり,それが示唆された。(3)このことから,SCIDマウスは,プリオン病の発病のメカニズムを解析するうえでも重要なモデル動物となることが判明した。(4)今後も,プリオン蛋白遺伝子のコンジェニックとSCIDマウスを組み合わせて,プリオン病解明のモデル動物開発を推し進めていきたい。