著者
毛利 資郎 半田 純雄 和田 俊雄 時吉 幸男
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.543-545, 1982-06-25 (Released:2008-02-13)
参考文献数
10
被引用文献数
4 4

福岡市, 長崎県, 熊本県の野犬抑留所由来イヌから, 1978年3月から1979年3月までの間に集められた血清796検体について, イヌパルボウイルスに対する HI 抗体調査を行った. その結果1878年6月以前のものはすべて陰性であったが, 1978年7月以降陽性例が認められ, 日本においても1978年7月には, すでにイヌパルボウイルスの浸潤が始まっていたことが示唆された.
著者
加藤 進昌 小野寺 節 毛利 資郎 岩城 徹 橋本 大彦 有村 公良
出版者
東京大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2001

本研究は、新変異型プリオン(PrPSc:スクレイピー型プリオン)が原因と考えられるヒト海綿状脳症(変異型Creutzfeldt-Jakob Disease : vCJD)および食物連鎖の上でvCJDの原因と考えられる牛海綿状脳症(BSE;より一般的で動物種を越えた名称としては、伝達性海綿状脳症Transmissible Spongiform Encephalopathy : TSEとも呼ばれる)について、諸外国の医療機関・政府機関における、1)感染予防対策、2)発症機序解明、発症予防、診断・検出方法の開発動向、および関連する基礎研究、3)発症者への対策、についての調査研究を目的とした。具体的にはスコットランドを中心に一時2万頭を越えるBSE牛が発見されたイギリス(エジンバラNCJDSU、ロンドン神経研究所)を中心に、vCJDが発見されたフランス(パリBioRad社、サルペトリエール病院)、イタリア(パレルモ大学、ローマ大学)、アイルランド(サーベイランスセンター)を歴訪し、各国での感染対策、汚染組織の処理や食品安全確保対策、診断方法開発の現状、さらにはヒトでの発症例の具体的な症状と、発見からマスコミ発表に至る事実経過などにわたって、詳細な調査を行った。それぞれの調査報告書をまとめ、一部は国内医学雑誌に小特集の形で報告した。また、フランスから専門家2名を招聘して、共同研究者を加えて2002年11月に東京大学において国際シンポジウムを開催した。わが国でも既に数頭のBSE牛が発見され、今後診断技術の普及によってその数が増えることが想定されている。肉骨粉での汚染はアジアでは更に深刻であるとの観測もあり、ヒトへの感染対策、食品安全確保対策の早急な整備が必要であることが痛感された
著者
半田 純雄 北本 哲之 毛利 資郎 立石 潤
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

1.昨年度の研究実績の概要で,それまでのラジオアイソトープを用いたドットハイブリダイゼーションから安全迅速な制限酵素の切断長による方法を開発し,マウスのプリオン蛋白遺伝子変異の診断技術が向上したこと,同時に,個体について診断に基づき実施した戻し交配が6世代まで進んだ後,繁殖が困難になったので4世代まで元に戻って行なったことを報告した。ところが,うまく繁殖できたものの,その中にPrn-P^aとPrn-P^bとのヘテロが生まれず,次の世代につなぐことができなかった。したがって,F1世代から交配をやり直しており,もう少し時間がかかりそうである。2.その代わり,プリオン接種後の潜伏期間,病理などの感受性がプリオン蛋白遺伝子変異以外の要素で変わることをSCIDマウスで発見した。そして,それがコンジェニックマウスと同様にプリオン病のモデル動物として重要であることがわかったのでその概要を報告する。(1)SCIDマウスではクロイッツフェルトヤコブ病病原体を脳内接種後,プリオン蛋白遺伝子型がPrn-P^aのマウスと同様に150日程度の潜伏期間で発症するが,脳内接種では600日経っても発症しなかった。(2)この原因として,SCIDマウスでは,脾臓やリンパ節の濾胞樹伏細胞に異常プリオン蛋白が沈着しないという特異的な反応があり,それが示唆された。(3)このことから,SCIDマウスは,プリオン病の発病のメカニズムを解析するうえでも重要なモデル動物となることが判明した。(4)今後も,プリオン蛋白遺伝子のコンジェニックとSCIDマウスを組み合わせて,プリオン病解明のモデル動物開発を推し進めていきたい。