著者
三村 喬生 中村 友昭 松本 惇平 西条 寿夫 須原 哲也 持橋 大地 南本 敬史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1C4J301, 2019 (Released:2019-06-01)

非ヒト霊長類など社会集団を構成する動物種においても広く観察される視線・表情・姿勢・動作などの身体表現を用いた非言語表現は、社会的コミュニケーションの本質的要素を成していると考えられるが、有効な定量解析技術がなく、コミュニケーションダイナミクスの理解において課題となっている。本研究では、身体表現を高解像度かつ汎用的に解析する手法の開発および実装として、小型霊長類コモン・マーモセットの典型的な摂餌行動を対象とし、ログデータを取得と身体動作時系列の分節推移構造推定を行った。データ取得には深度カメラとオ ブジェクト検出器を組み合わせた新規のマーカーレス・3 次元 モーショントラック技術を開発・実装し身体部位のトラッキン グ情報を抽出した。分節推移構造の推定には、ガウス過程の導入により多次元連続量を取り扱える拡張を施した隠れセミマルコフモデルを用いた。結果、マーモセット行動エソグラムの高解像度な分離を得たことから、提案手法は疾患モデル動物の病態評価など幅広い応用が期待される。
著者
竹村 和久 坂上 貴之 藤井 聡 西條 辰義 高橋 英彦 南本 敬史
出版者
早稲田大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は、意思決定の微視的過程を、心理実験、社会調査、行動観察、計量心理学モデリングを用いて検討することを主目的とした。本研究は、眼球運動測定装置や社会調査法を用いて、選択の反復が選好形成に及ぼす効果を検討した。選択過程の眼球運動解析の結果は、ゲーズカスケード効果とは異なる過程を示した。本研究の結果は、自動的な選択の反復によって選好形成がなされることを示唆した。また、社会調査の結果は、時間経過とともに、選ばれた選択肢の優れた属性への重みづけは増加し、選ばれた選択肢の劣った属性への重みづけは減少した。この研究結果は、選択が選好を形成する因果関係を示唆しており、一般に意思決定研究で仮定されている知見とは逆の知見を示唆した。最後に、本研究では、社会的状況における意思決定過程のいくつかの性質を明らかにし、リスク下と不確実性下での意思決定の統一的な心理計量モデルを提唱し、さらに、得られた知見の社会科学への意義についての議論を行った。本研究の成果として、意思決定のマクロ分析についてのいくつかのワークショップを開催し、論文、書籍などを公刊した。