著者
南條 佳代
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学総合研究所紀要 (ISSN:13405942)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.55-70, 2014-03-25

佛教大学二条キャンパス造成地であった京都市中京区西ノ京星ヶ池町にて、「三条院釣殿高坏」と墨書された高坏が出土しよしみたため、そこは、平安時代前期に右大臣を務めた藤原良相(八一三?八六七)の邸宅「西三条第」(百花亭)跡地であることが確実になった。さらにそこでは、仮名文字が記された墨書土器が多数出土した。その表記内容について解釈されている釈文を、新たに変体仮名の文字形態より分析、検討を加えた結果、出土土器(墨14)には、古今和歌集の初句が表記されているのではないかと考えられ、また、(墨15)は、「かつらきの」と判読できることから万葉歌の一部分であると考察される。それらを踏まえ、書風についても実際の書道史上の作品との比較を通して明確にする。
著者
南條 佳代
出版者
佛教大学国語国文学会
雑誌
京都語文 (ISSN:13424254)
巻号頁・発行日
no.24, pp.240-261, 2016-12-20

佛教大学二条キャンパス造成地であった京都市中京区西ノ京星ヶ池町より「三条院釣殿高坏」と墨書された高杯が出土した。そこは、平安時代前期に右大臣を務めた藤原良相(八一三〜八六七)の邸宅「西三条第」(百花亭)跡地であることが確実になり、さらにそこでは、仮名文字が記された墨書土器も多数出土した。そこで出土した(墨14)について、調査報告書の解読ではなく、拙稿において古今和歌集の初句が表記されていると結論付けた。その後の調査結果を踏まえ、(墨14)の他の箇所の解読を初め、(墨8)、(墨15)、(墨16)、(墨66)の表記と書風、文字形態を見ていく。さらには、実際に土師器のような素焼きの赤皿に墨書した結果を踏まえ、仮名書家として、文字連綿における字面の美、流麗さを検証し、明確にしていくものである。
著者
南條 佳代
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.181-193, 2012-03-01

『枕草子』において、書に関する多くの記述がなされている。これは、書に造詣が深い清少納言ならではの書道観として、この時代の書風や様子を著しているのである。では、随筆である『枕草子』での書の扱われ方は、実際にこの物語が書かれた平安時代の書と、どういった関わりがあるのだろうか。本文において、紙(料紙)や消息文、添え物、書風の分析を加えながら検証していきたい。さらに、本稿では、『紫式部日記』より紫式部における清少納言の人物評について見ていき、それを踏まえた清少納言の書の捉え方、またこの時代の書の扱われ方について考察し、明確にしていくものである。