著者
三村 正樹 菊地 洋二 柴木 秀之 原 信彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.216-220, 2010 (Released:2010-11-09)
参考文献数
6

A surge-wave coupling model was developed for numerical analysis of the disaster phenomena in coastal areas. The basic equations of storm surge model are the continuity and momentum equations integrated. The shear stresses the pressure gradients and the radiation stresses are taken into consideration in the momentum equations. The wave fields of a coupling model are calculated by MRI shallow water wave hindcasting model. The developed surge wave coupling model is applied to the estimation of the wave and water level generated by T7010 in the inundation area in the Kochi city.
著者
尾原 信彦
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理 (ISSN:21851697)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.250-270, 1938-07-01 (Released:2010-03-19)
参考文献数
13

最後に、以上述べて來た事を括めなければならぬ。大體に於て、此地方は笠井市場が其發展の緒を作つた。而して幕政時代より、尾濃に於ける如き多くのマニュファクツールが發展しなかつた爲、買繼商の發達を見ずに、最初は農家の過剩生産を笠井市場に出して、交換した。遠州の出機屋は商人出身であるから、動力化に當つて、工場を自ら立てる事なく、半農の機屋をして、工場主たらしめた。故に遠州の工場の分布地は尾濃の如くマニユファクツールの集中した地ではなく、通常の農村であつたから、第一圖に示す様に遙かに擴散度が高いのである。遠州は最近になつて、ボィル・ポプリン・サロン等の極細絲で織る綿布を製織する様になつて、始めて此地特有の乾燥した西風を防がねばならなくなり、元々小規模の農家出身の者故、設備費の小額を望むに切なものがあつた。然るに立地する土壤としては、埴質壤土 (粘土系) の所が工場内の濕度を保つのに適してゐたが、幸にも古來綿作地であつた北部の農村は、土質が埴質であつたから、其要求と偶然一致した。稍々發達の遅れた南部は棉作地であつたけれども、砂地のために、大體生地綿布が適し、大巾の織機を入れて大規模製産に從事してゐる。商人出身の出機屋の活動は、相次ぐ獨特の織機の發明と相俟つて、力織機採用を他産地に先じ、又市場の開拓も積局的であつたから、出發の遅かつたのを補つて猶ほ餘りあり、最近輸出綿布に轉じてからは、我國では最も進歩した綿布機業地となつた。加工絲使用後は、偶然乍ら、此地方の風土に對する處置を誤らなかつた事は、地理的に最もよく土地を利用したと解する事が出來、今日の隆盛も決して偶發的でなかつた事を斷言し得るのである。