著者
土井 佳代 小島 尚 原田 昌興 堀口 佳哉
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.15-22, 1994-02-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
20
被引用文献数
3 3

1%コレステロール添加飼料 (Ch) に乾燥桑葉 (ML) およびその熱水抽出物 (ME) をさらに配合した飼料 (ML・Ch, ME・Ch) をウサギに12~16週間与え, 血清脂質に及ぼす影響について検討した。実験期間中2週間ごとに採血し, 総コレステロール (TC) 等の血清脂質成分を測定し, 実験終了時には剖検および病理組織学的検討を行った。1) Ch食による血清TCの増加は, 10週間で2, 500mg/dlに及んだのに対して, ML・Ch食によるTCの増加は抑制された。とくに2.5%添加したML・Ch群では最大値1, 500mg/dlを示したに過ぎず, 有意に増加が抑制された。FC, PL, TGなどの血清脂質成分も同様の傾向を示した。2) 16週間の摂食後の剖検において, 肝臓の肥大・脂肪沈着はML・Ch群で軽減することが認められた。10%MLのみを添加した飼料を与えた動物は, 通常飼料群との間に差を認めなかった。3) 4週間Ch食で飼育し, 各群のTCが約1, 300mg/dlに増加したのをみてML・Chに切り換えて飼育すると, TCをはじめとする血清脂質成分の増加は抑制された。また, ME・Ch群においても, 増加は抑制された。4) 3) の肝臓病理組織学所見において, 肝細胞の腫大・脂肪沈着等はCh群で顕著であったのに対して, ML・Ch食群とME・Ch食群では微弱傾向を示した。胸部大動脈の病理組織学所見において, Ch群で顕著にみられた血管内膜の肥厚は, ML・Ch群では抑制された。以上の結果より, 桑葉には高コレステロール食により高脂肪血症を呈したウサギの血清脂質増加を抑制し, 脂肪肝を軽減する効果を有することを認めた。また, この効果は桑葉の熱水抽出物でも認めたが, 有効成分は非抽出画分にも存在すると思われる。
著者
上村 博司 里見 佳昭 菅原 敏道 山口 豊明 岸田 健 石橋 克夫 原田 昌興
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.260-267, 1991-02-20

10年以上経過をみた前立腺癌症例70例を対象として, その予後調査を行った. 治療は内分泌療法を施行した. また, 除睾術を70例中54例 (77%) に施行した. 生存10例, 死亡60例で, 癌死は31例と半数を占めた. stageA, Bでは, 癌死は少なく, stageC, Dは癌死が10例と18例で高率にみられた. 一方, 長期生存例は, stageA_1 1例, A_2例, B1例, C4例, D2例とどのstageにおいても存在した. 病理組織別では, 高分化型群に癌死がみられず, またstageA, Bでは高分化・中分化型群に同様に癌死がなかった. ホルモン剤中断例では, 高分化型群で癌死は存在せず, 中分化型群でstageC, Dに癌死がみられた. 低分化型群は予後が悪く, とくに中断後は短期間内に癌死した. 高分化型群では癌死がいないと, stageA, Bでは高分化・中分化型群で癌死はなく, またホルモン剤中断後も癌死がないことより, 除睾術施行後の高分化型腺癌でstageA, Bの症例では, ある一定期間の継続的内分泌療法を施行後に, ホルモン剤の中断・中止の可能性が推察され, 一定の条件下でホルモン剤の中止ができるのではないかということを提唱した.