著者
原田 有
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築學會論文集 (ISSN:03871177)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.11-18, 1953-12-25 (Released:2017-12-04)

今回の実験によれば吾国で広く使用される河砂、河砂利、即ち砂岩質の骨材コンクリートは高温経歴1時間に伴ひ残存圧縮強度と引張強度の低下が甚だしく、殊に弾性係数は著しく低下する。而も冷却直後の強度は空中放置30日で更に10%内外低下する。経歴温度500℃以上は冷却後数日で大きな亀裂を発生し小型供試体では強度試験が出来ない。尚ほ全歪度と破壊歪度は経歴温度に比例して大きな値を採り、500℃の全歪度は常温の歪度の800〜900%に達し、且つ応力〜歪曲線の型式は常温曲線と反対に歪軸に凸型を画く。残留歪度も亦温度と共に増加し500℃では全歪度の60〜70%に及ぶ。弾性係数の著しい低下は500℃で常温値の10%内外に過ぎない。其他加熱減量の変化と空中放置に伴う重量増加の500℃に於ける階段的変化等より経歴温度500℃以上は全く塑性化したコンクリートで構造用材料としての利用は困難である。但し今回は主として若令(材令28日)アンクリートの残存圧縮強度と加熱減量等につき報告する。