著者
岩田 恵輔 原田 靖彦 吉岡 知輝 倉田 久嗣 平賀 潤二 鏡味 良豊
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.8, pp.1633-1640, 2021-08-10 (Released:2022-08-10)
参考文献数
8

64歳,女性.急性肝・腎不全の精査目的で入院した後,心室細動を繰り返した.尿中M蛋白を認め,骨髄穿刺にて多発性骨髄腫を確認し,組織生検にて糸球体,肝実質,心筋にκ鎖型軽鎖沈着を認め,軽鎖沈着症(light chain deposition disease:LCDD)と診断した.血液透析,除細動器植込み,ボルテゾミブを含む化学療法を実施したが,原疾患増悪のため死亡した.LCDDはALアミロイドーシスと共に鑑別すべき病態であり,各種組織生検と集学的治療が重要である.
著者
原田 靖彦 村田 誠 松本 あかね 加藤 大三 八木 哲也 矢口 貴志 吉川 剛典 武市 拓也 秋山 真志 山口 洋平 小山 大輔 寺倉 精太郎 西田 徹也 清井 仁
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.1641-1646, 2019 (Released:2019-12-27)
参考文献数
15

骨髄移植後に再発した骨髄異形成関連変化を伴う急性骨髄性白血病患者(47歳,男性)に臍帯血移植を実施した。生着前に広域抗菌薬不応の発熱性好中球減少症および全身性の有痛性結節が出現した。皮膚生検と血液培養で糸状菌を認め真菌血症と診断,さらに培養コロニーの検鏡,質量分析,塩基配列決定からFusarium solaniによる播種性感染症と確定診断した。Liposomal amphotericin B(L-AMB)5 mg/kg/日の投与により熱型と皮疹は改善し始めた。Day19に生着し,皮膚急性移植片対宿主病stage3は外用ステロイド剤で寛解した。Day38にvoriconazoleへ変更したところFusarium感染症は増悪した。その後はL-AMB計19週間の投与で治癒した。生着前の播種性Fusarium感染症は極めて予後不良である。本症例では,好中球の生着に加え,速やかな確定診断,適切な抗真菌薬の選択,その十分量かつ長期間の投与,ステロイド剤全身投与回避などが功を奏したと考えられた。