7 0 0 0 OA Aspergillus属

著者
矢口 貴志
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.193-197, 2011 (Released:2011-08-31)
参考文献数
12
被引用文献数
5
著者
松澤 哲宏 堀江 義一 矢口 貴志 坂本 裕美子 吹春 俊光
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.jjom.H22-05, 2011-05-01 (Released:2018-03-30)
参考文献数
10

千葉県船橋市の農場の温室で栽培中のシクラメンの鉢の土壌表面に多数の白色の菌核が発生した.同時に菌核の発生した鉢からまれに小型の黄色のキノコが発生した.この菌核から純粋分離した菌株,培地上で形成された菌核,鉢から発生した黄色のキノコ,保存されていたコガネキヌカラカサタケの標本から DNA を抽出し,ITS,D1/D2 領域の塩基配列を用いて分析した結果,鉢から発生した菌核およびキノコはコガネキヌカラカサタケであることが知られた.すなわち鉢の土壌上に多数発生した菌核は同時に発生したキノコと同一の菌種である事が明らかとなった.これまでコガネキヌカラカサタケの菌核による栽培植物の被害は報告されておらず新しい知見として報告する. 併せてコガネキヌカラカサタケの培地上での性質を記載した.
著者
矢口 貴志
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.J13-J17, 2014 (Released:2014-03-28)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

国際植物命名規約において,これまで多型的生活環をもつ高等菌類(子のう菌類と担子菌類)では例外的に1つの生物種を2つの学名で呼称すること(二重命名法)が認められていた.しかし,2011年7月にオーストラリア・メルボルンで開催された第18回国際植物学会で国際植物命名規約の大幅な改訂がなされ,1つの生物種に対して1つの学名を与える(1生物種1学名)統一命名法が高等菌類にも適用された.この命名規約の改訂が病原性糸状菌に与える影響,Aspergillus,Penicillium および関連するテレオモルフの学名の検討状況をについて述べる.
著者
矢口 貴志 田中 玲子 西村 和子 宇田川 俊一
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.51, 2005

2004 年,de Hoog 等が ITS 領域の系統解析で <I>Fonsecaea</I> 属を <I>F. pedrosoi</I> と新規提唱の <I>F. monophora</I> に分け,伝統的な分類における <I>F. pedrosoi</I> と <I>F. compacta</I> とは一致しないと報告した.そこで,当センター保存の臨床および食品由来の <I>Fonsecaea</I> 属に含まれる菌株について ITS 領域の塩基配列を決定し,既存のデータと合わせ系統解析を実施した.その結果,2 つの主要なグループに分かれ,日本産の分離菌は <I>F. monophora</I> と同じグループに類別された.このグループは,<I>F. pedrosoi</I>,<I>F. compacta</I> の代表株とは系統的にはっきりした違いを示し,de Hoog 等の" B タイプ",Tanabe 等の ITS-RFLP 解析による"タイプ 2 "にほぼ一致した.さらにこのグループは 2 つのサブグループに分かれ,その 1 つに日本産の菌株がすべて含まれ,もう一方のグループに南米由来の株が含まれていた.この結果は,日本産の <I>F. pedrosoi</I> が de Hoog らが示した <I>F. monophora</I> であることを示唆している.しかし,ITS 領域のみの結果から断定することは控えて,さらに複数の遺伝子解析の実施結果から判断したいと考える.
著者
原田 靖彦 村田 誠 松本 あかね 加藤 大三 八木 哲也 矢口 貴志 吉川 剛典 武市 拓也 秋山 真志 山口 洋平 小山 大輔 寺倉 精太郎 西田 徹也 清井 仁
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.1641-1646, 2019 (Released:2019-12-27)
参考文献数
15

骨髄移植後に再発した骨髄異形成関連変化を伴う急性骨髄性白血病患者(47歳,男性)に臍帯血移植を実施した。生着前に広域抗菌薬不応の発熱性好中球減少症および全身性の有痛性結節が出現した。皮膚生検と血液培養で糸状菌を認め真菌血症と診断,さらに培養コロニーの検鏡,質量分析,塩基配列決定からFusarium solaniによる播種性感染症と確定診断した。Liposomal amphotericin B(L-AMB)5 mg/kg/日の投与により熱型と皮疹は改善し始めた。Day19に生着し,皮膚急性移植片対宿主病stage3は外用ステロイド剤で寛解した。Day38にvoriconazoleへ変更したところFusarium感染症は増悪した。その後はL-AMB計19週間の投与で治癒した。生着前の播種性Fusarium感染症は極めて予後不良である。本症例では,好中球の生着に加え,速やかな確定診断,適切な抗真菌薬の選択,その十分量かつ長期間の投与,ステロイド剤全身投与回避などが功を奏したと考えられた。
著者
高橋 英雄 植田 啓一 宮原 弘和 渡辺 紗綾 内田 詮三 鎗田 響子 村田 佳輝 板野 栄子 高山 明子 西田 和紀 猪股 智夫 矢口 貴志 佐野 文子 亀井 克彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.34, 2007

水族館飼育下イルカのnon-<I>albicans Candida</I> spp.保菌が健康管理および観客への安全上問題となっているので、飼育されているイルカ20頭の呼気と飼育プール水の病原性酵母叢を昨年8月および本年2月に調査した。さらに飼育関係者24名の口腔内と観客席空中浮遊菌の病原性酵母叢の調査を本年2月に行った。保菌イルカは14頭 (70%)、分離株は<I>C. albicans</I>、<I>C. tropicalis</I>、<I>C. glabrata</I>で、1頭を除き2回の調査とも保有菌種は同一で、大多数の株はアゾール薬に耐性傾向を示した。また、4個体は1呼気あたり数十から数百の病原性酵母を噴出していた。飼育プール水の検査では8箇所中5ヵ所から<I>C. albicans</I>および<I>Candida</I> spp. など、飼育関係者の口腔からは24名中5名から<I>C. albicans</I>および<I>Candida</I> spp. などが分離され、一部にアゾール薬に耐性傾向を示す株も含まれていた。観客席空中からは<I>Candida</I> spp.など数株の酵母が分離された。しかし、病原性酵母を噴出しているイルカの呼気が観客に直接かかるような状況はなく、実際に観客席空中からイルカとの共通菌種が分離されなかったため、イルカショーで発生するエアロゾルによる観客への影響は少ないと思われる。一方、イルカ、飼育環境、飼育関係者との間では<I>C. albicans</I>が共通して分離されていたので、現在,遺伝子パターンの解析を進めている。また、イルカの真菌保有の有無は健康状態の指標となりうると思われた。
著者
藤原 恵利子 三川 隆 矢口 貴志 長谷川 美幸 池田 文昭
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集 日本菌学会第55回大会
巻号頁・発行日
pp.36, 2011 (Released:2012-02-23)

Conidiobolus属菌は主に土壌,腐植などに生息する腐生菌であるが,一部の菌はヒト,動物に感染症を起こすことが知られ,特に熱帯圏では本菌による播種性感染症が報告されている.本属菌は接合菌類のトリモチカビ亜門,キクセラ亜門と系統関係にあることが示唆されており,接合菌類の系統進化を論じる上で鍵となる系統的位置にある菌群であると考えられている.本属菌の分類・同定は形態や生理学的性状に基づいた研究により現在32種以上知られているが,本属菌の系統分類は未だ確立されていない.我々は本邦産の本属菌の種相互の系統関係の解明を目的とし,土壌,腐植などから本属菌を分離し系統分類学的な研究を行っている.本属菌は15℃~35℃で生育する中温性菌が研究の対象となっており40℃以上で生育する菌に関する研究は殆どない.今回は高温条件下で発育する本属菌の分離法および系統的位置関係を検討した. 土壌,腐植など530サンプルを用いて40℃および25℃で5日間培養し,40℃のみで発育した菌株を分離した.参照株としてヒトから分離された高温性菌(IFM58391、IFM55973)を用いた.これらの菌株の18S rDNAの塩基配列を決定し系統解析を行った.高温性菌は4株(F325,F328,F329,F330)検出された.系統解析の結果,分離菌株4株およびIFM株は4つの系統群に大別された.今回分離した高温性菌およびIFM株は相互に類似した形態学的特徴を示すが,18S rDNAでは多様な系統関係にあり,形態,生理特性,遺伝子などの多相的な方面からの分類が必要であると思われた.
著者
矢口 貴志 滝澤 香代子 田口 英昭 田中 玲子 窪田 規 窪田 宜昭 窪田 正昭 福島 和貴
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.97-100, 2007 (Released:2007-09-26)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

銀は, 古くから細菌などの微生物に対して抗菌作用を有することが知られており, 食器をはじめ歯科用充填材などに用いられている. 今回, ナノ銀粒子を静電吸着させたコラーゲン水解ペプチド (GX-95) の病原真菌を中心とした真菌に対する抗真菌活性について検討した. その結果, 検討したすべての菌種に対し, 抗真菌活性を有することが明らかとなった. 最小発育阻止濃度 (MIC) は, fluconazole, itraconazole, flucytosine 耐性株を含めたCandida albicans に対して0.25-3.1μg/ml, Cryptococcus neoformans に対して0.05-0.2μg/ml, Aspergillus fumigatus に対して0.025-0.4μg/ml, Trichophyton rubrum に対し0.4μg/ml, Cladophialophora carrionii に対して0.05μg/ml などとなり, GX-95は幅広く強い抗真菌活性を示した.