- 著者
-
友重 秀介
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.5, pp.411, 2021 (Released:2021-05-01)
- 参考文献数
- 2
分子糊はタンパク質に結合することでその高次構造を変化させ,他のタンパク質との相互作用を誘導する化合物の総称である.なかでも,タンパク質分解系に関与する分子糊は相手タンパク質の分解も誘導するため,分子糊型タンパク質分解薬(以下,分子糊型分解薬)として注目されている.タンパク質分解薬としてはproteolysis targeting chimeras(PROTACs)が有名だが,PROTACsは2つの薬剤の連結分子であるため分子量が大きく,体内動態などに懸念がある.一方,分子糊は低分子化合物であり,ドラッグライクネスの観点でより好ましい.しかし分子糊の創製は難しく,過去の分子糊はいずれも偶然見いだされている.そのため,分子糊型分解薬の効率的創製を可能にする手法が求められている.本稿では,Winterらのグループが報告した分子糊型分解薬の探索研究について紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Mayor-Ruiz C. et al., Nat. Chem. Biol., 16, 1199-1207(2020).2) Słabicki M. et al., Nature, 585, 293-297(2020).