著者
口村 淳 クチムラ アツシ Kuchimura Atsushi
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Hyoron Shakaikagaku (Social Science Review) (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.126, pp.1-13, 2018-09-30

論文(Article)本研究の目的は,他職種からみた生活相談員に対するイメージや期待する役割を把握した上で,生活相談員業務のあり方について検討することである。社会福祉法人A系列の特別養護老人ホームを調査対象にし,生活相談員以外の専門職から102通の回答を得た。分析の結果,生活相談員は他職種から,相談援助や連絡調整を中心とした役割を期待されている傾向があることが明らかになった。This study aims to examine residential social worker's expected roles from the other professionals viewpoints and to consider the direction of residential social work. The target of the questionnaire survey was a social welfare corporation affiliated special nursing home for the elderly, and 102 professions other than residential social worker responded. As a result of analysis, the following trend was revealed that residential social worker was expecting the role of consultation aid and coordination mainly from other professions.
著者
口村 淳
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 = Japanese journal of social welfare (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.94-105, 2014-11

本研究では,要介護高齢者からみたショートステイの意義と課題について検討する目的で,利用者の手記を調査データに用い,質的な分析を行った.その結果,28個のカテゴリ,9個の上位カテゴリを生成することができた.手記の分析を通して,リロケーションダメージが生じる可能性,サービス評価(満足度)を高めるための要因,職員の支援を受ける利用者の内面の動きについて検討することができた.検討の結果を受け,(1)帰宅後のアフターケアの必要性,(2)利用者との信頼関係構築の必要性,(3)利用者のストレングスを評価する必要性といった,ソーシャルワークのニーズや課題が存在することがわかった.
著者
口村 淳
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.148-160, 2010-02-28

本研究の目的は,高齢者ショートステイにおける生活相談員の業務を明らかにし,その特徴について検討することである.特養併設型ショートステイを利用した167人の既存臨床情報(16種類)から,「相談員が関与した業務」を抜粋した.Krippendorff,K.の内容分析の手法により分析した結果,業務内容について22個のカテゴリ,さらに「予約および入退所に関する業務」「円滑なケアの実施に関する業務」「具体的サービス内容の調整」「新規利用に関する業務」「緊急的,一時的な業務」という5個の上位カテゴリに分類できた.ショートステイにおける相談員業務の特徴として,(1)予約および入退所に関する業務が多い点,(2)連携・調整・相談というスキルを多用している点,(3)「利用期間外」における業務が大半を占めている点,(4)「施設ケアマネジメント」に関する業務を担っている点,が示唆された.
著者
口村 淳
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.163-173, 2011-02-28

本研究の目的は,高齢者ショートステイにおける相談援助に関するカテゴリを生成し,その特徴について検討することである.特養併設型ショートステイを利用した236人のケース記録を,帰納的アプローチによる質的研究法で分析を行った.その結果25個のカテゴリからなる,【援助困難ケースへの対応】【施設での生活支援】【外部機関への情報提供】【施設利用に関する相談】【家族との連絡調整】【利用者に関する情報収集】【円滑な在宅介護の支援】【苦情対応】という8個の上位カテゴリが生成された.さらにそれらは,「利用期間中の業務」と「利用期間外の業務」に分類することができた.先行研究の多くは長期入所施設を調査対象としているため,本研究のカテゴリとはいくつかの相違点がみられた.たとえば,ショートステイでは利用中の援助にも家族の意向が反映される傾向があるため,【家族との連絡・調整】が重要な機能として位置づけられる点などである.