著者
古城 建一 川内 敬介
出版者
大分大学教育福祉科学部
雑誌
大分大学教育福祉科学部研究紀要 (ISSN:13450875)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.71-86, 2008-04

大分市S小学校の学童保育クラブにおける低学年児童の遊び###を対象として参与観察調査および聞き取り調査を実施したところ,スポーツ###的遊び,鬼ごっこ等など合計54の遊びを収集することができた。これらの###遊びを事例として,活動の開始から終了までの経過を分析したところ,すべ###ての事例においてルールのつくり変えが認められた。その回数は7回ないし###2回で,平均は4回であった.また,そのつくり変えは遊ぶ中で生じる不都###合(ルール破りや危険性)等がきっかけになること,遊びをより面白く・活動###しやすくするためであること,1人の子どもによる提案と遊び仲間の合意に###よること,等が明らかになった。さらに,殆どの事例において,ルールのつ###くり変えが遊びに肯定的変化(遊びやすくなった,面白くなった)をもたらし###たことも明らかになった。###以上を論拠として,本稿では低学年児童の遊びは既定のルールに従ってゲ###ームが進行するスポーツと異なり,ルールをつくり変える過程として成立す###ること,つまり遊びとは遊びづくりでもあり,その遊びづくりは遊びやすさ###や面白さを追求する営みである,と論じた。###We carried out the society survey targeting at the play of the ###schoolchildren in the lower grades in the after-school care for children's###club of Oita Municipal "S" Elementary School. As a result, we collected a ###total of 54 games such as sports play and blindman's buff. We analyzed ###all of these games and made several findings. All the games include the ###several changes of the rule. Each and every change of the rule is triggered ###by any inconvenience they come across in their playing. The rule change is ###carried out to make the play more interesting. The rule change brings about an ###affirmative change to play.###On the basis of the above-mentioned findings, we made it clear that the ###schoolchildren in the lower grades enjoy their play and make most of the ###several changes of its rule and that such a rule change is done for the pursuit ###of the fun they have while playlng.
著者
麻生 和江 古城 建一
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

2003年4月からの知的障害者と大分大学学生とのダンスや福祉レクリエーション・サービスを通して、両者の「からだ」への意識変容を検証した。ダンス活動では、活動を進めていく中で、」大学生は戸惑いつつ,障害者との活動を進めていく過程で,知的障害者を観察し,健常者との違いを明確に把握することができた。他者と自分の違いを認識すること,他者の生を実感することは,健常者間でも求められる。しかしながら,知的障害者に実際に接することで,観念的でしかなかった「健常者」「知的障害者」の相違の根拠を認識することによって,自信を持って「他者と接する」ことができるようになった。それはまた自己の改革を導出することにもなった。知的障害をもつ人々の生活をみると,彼らはその障害の特殊性から,生きるための生活そのものも家族やボランティアや福祉施設等の組織的支援への依存度が高い。そういうわけで,福祉レクリエーションの掛け声は少しずつ高まっているとはいえ,生活のなかに,「こころとからだ」の楽しみを日常的に求めることは困難な状態に置かれている等の考察に至った。結論的には、知的障害者と大学生はダンス活動やレク・サービスを媒介とした交流で,「からだ」を実感する様々な体験を蓄積していき,お互いに生き生きとした「からだ」への認識を深めることができたと考えられる。